40代で転職活動を始めたものの、自分が思っていたように進まない現状に悩んでいる人もいるでしょう。40代の転職活動は20〜30代の転職活動と比較して、事前準備が必要不可欠です。これらを怠ると、転職先が決まらないまま不安な日々が続くことになるので注意してください。

本記事では40代の転職がうまくいかない7つの特徴と解決策について解説します。あわせて、40代におすすめのキャリアプランなども紹介します。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとしたキャリア支援実績は累計2000名以上。スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

記事の目次

転職がうまくいかない40代の7つの特徴と解決策

転職がうまくいかない40代の7つの特徴と解決策

転職がうまくいかない40代は、共通する特徴を抱えているケースも少なくありません。

以下、転職がうまくいかない40代の7つの特徴と解決策を見ていきましょう。

特徴1:40代の転職市場を把握していない

転職活動を行う際は、40代の転職市場の把握からはじめましょう。

転職市場を把握せずに転職活動を行っても、現実と理想における乖離などからうまくいかないケースは少なくありません。例えば、転職して収入をアップさせようと思っても、現職よりも年収が低い求人ばかりの可能性もあります。

あるいは、「こういう仕事をやってみたい」と思ったとしても、未経験では採用されないケースも少なくありません。

解決策:転職の統計をチェックする

自身の年齢における転職市場を把握した上で、転職活動を進めましょう。具体的には、以下の項目について厚生労働省が公表するデータなどで確認してみてください。

  • 40代の転職入職率
  • 40代で転職して年収はアップするか

40代の転職入職率は以下の表のとおり、男女ともに低い傾向にあります。

40~44歳(男)3.8%
45~49歳(男)2.7%
40~44歳(女)5.7%
45~49歳(女)6.5%
参考:厚生労働省「転職入職者の状況」(令和3年上半期)

また、40代の転職では、厚生労働省が「令和3年度の雇用動向調査」で明らかにしているように、一般的に年収が下がることも理解しておきましょう。

年収がどのくらい下がるのかというと、40代前半まではマイナス10%未満の層が14.1%、10%以上マイナスになった人は約20%です。40代後半になると10%未満は12.4%、10%以上が30%に増加します。

年収が下がる背景として、自信がなくて年収が低い募集ばかりに目を留めてしまう、低条件でも納得せざるを得ないといった事情が挙げられます。

特徴2:求人情報を調べていない

求人情報を調べずに応募した場合、面接などで業務内容をあまり理解できていないと思われてしまうでしょう。採用担当者から「志望度が低い」と思われる原因となるため注意してください。また、採用担当者から採用後のミスマッチやギャップを懸念され、内定に至らないケースもあると考えられます。

転職活動を行う人のなかには仕事と転職活動の両立に忙しい人も少なくありません。求人情報を調べずに応募すると、内定まで遠回りとなります。

解決策:転職先の事業内容から決算情報まで深くリサーチする

40代の転職では求人情報についてよく調べ、きちんと理解していることが前提です。

40代の転職活動では求人情報の内容を深く調べられるかがポイントになります。転職先の事業内容や業界の動向、さらには決算情報まで深くリサーチすることが重要です。また、面接では企業が置かれている現状を踏まえた上で、自分にできることや取り組みたいことを話せるように準備しておきましょう。

特徴3:自分の強みを発揮できていない

40代の転職活動では即戦力として活躍できるかが鍵となります。アピールできる強みがない場合、転職活動がうまくいかなかったり、想定していたよりも低条件で納得せざるを得なくなったりするでしょう。

また、自分の強みを発揮できる業界に応募するのではなく、未経験の業界などを中心に応募している場合も転職活動がうまくいかない原因となります。

解決策:特化できる領域をつくる

40代の転職は難しいものの、優れたスキルや高度な専門知識を持っている人はよい条件で採用される傾向にあります。

40代で転職を希望する際は社会人としての経験・実績、あるいは資格を活かせる業界に応募するとうまくいきやすいです。

未経験の分野にチャレンジしたい場合は、関連資格を取得し副業などで経験を積むことをおすすめします。

特徴4:転職活動をダラダラと進めている

転職活動をダラダラと進める原因は人によって異なります。転職活動に対してやる気が出ないというケースや、仕事が忙しく転職活動に充分な時間が取れないというケースなどさまざまです。

「転職活動を行っていれば、そのうち決まるだろう」という気持ちで転職活動を行っても、転職活動が長引くばかりで内定を獲得できないでしょう。

解決策:内定を獲得するまでの目標期間を決める

転職活動を行う際は、内定を獲得するまでの目標期間を設定しておくことが重要です。「いつまでに内定を取る」と目標を立て、その期間までに内定を獲得できるように転職活動を進めていきましょう。期間を定めることで、転職活動を計画的、かつ意欲的に進められます。

ただし、非現実的な目標期間を設定するのは控えてください。自分の選考スケジュールと照らし合わせて計画を立てることが重要です。また、仕事と両立することを考えて、余裕のあるスケジュールにしましょう。

特徴5:手当たり次第に求人に応募する

内定がなかなか取れない、あるいは転職を急ぐあまりに、業界や職種を問わず応募する人もいます。

手当たり次第に求人に応募しても、うまくいかないものです。面接での受け答えの内容が薄くなったり、十分に企業研究ができなかったりするので注意が必要です。

解決策:転職活動において譲れない条件と妥協できる条件を決める

転職活動を行うにあたって、「譲れない条件」と「妥協できる条件」を決めておきます。転職活動における譲れない条件には、転職に至った最大の原因を含めるようにしてください。譲れない条件に妥協したり、転職に至った要因を抱える企業に再度転職したりした場合、転職を何度も繰り返すことになるので気をつけましょう。

例えば、シフト制の勤務が合わず転職を考えている場合は、シフト制ではない企業を選択します。それ以外の条件、もしくはあまり重視していない項目は、妥協できる条件に含めてください。

また、40代の転職活動では妥協もある程度必要となります。妥協できる条件についても整理しておき、広い視野で転職活動を行うとよいでしょう。

特徴6:応募書類の書き方や面接対策のやり方がわからない

応募書類や面接にはルールやマナーがあります。応募書類の書き方や面接対策のやり方がわからない状態で転職活動を行っても、空まわりするばかりで結果を出せなくなります。

応募書類の書き方や面接対策の方法をきちんと調べた上で転職活動を行うことは、早期内定のためのコツの一つです。

解決策:転職エージェントのサポートを受ける

応募書類や面接に不安がある人は、転職エージェントのサポートを受けることをおすすめします。転職エージェントは転職に関するさまざまなノウハウを持っているので、応募書類の書き方や面接対策の方法、あるいは面接での身だしなみなどについてアドバイスをもらうのも一つの手です。

プロのサポートを受けることで、応募書類の欠点や面接における改善点に気づくはずです。自己流の間違った方法で応募したり、面接を受けたりしても上手くいかないケースがほとんどでしょう。

特徴7:転職サイトに依存して転職活動をしている

求人の探し方は転職サイトだけだと思っている人も少なくありません。しかし、世の中にはさまざまな求人の探し方があります。

また、求人を探す方法として最もメジャーともいえる転職サイトの利用は、20代・30代の若い世代や高いスキルを誇る人たちとライバルになることも珍しくないでしょう。転職サイト経由で採用に繋げるためには、大人数のなかから選ばれる強みが必要になるケースも多々あります。

解決策:知人の紹介やビジネスSNSをうまく活用する

リファラル枠(紹介)を持っている企業もあるため、知人によい企業を知らないか相談してみるのも一つの手です。知人経由で企業にアプローチする場合、企業の実情についても事前に把握しやすいというメリットがあります。

また、WantedlyやYOUTRUSTといったビジネスSNSを活用することで、求人の選択肢が増えるはずです。WantedlyやYOUTRUSTには企業について詳細に説明されていることも多く、自分に合った企業を見つけやすいと考えられます。

40代の転職で求められるスキルや経験

40代の転職で求められるスキルや経験

40代の転職ではどのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

以下、40代の転職で求められるスキルや経験について解説します。

コミュニケーション力(対人折衝力)

コミュニケーション力は企業で働くにあたり、全ての年代で重視される能力です。40代の場合、業務を円滑に進められるコミュニケーション力を持ち、年下社員と良好な関係を築けるかが重要になります。

例えば、年下社員から業務について質問されたら答えられるかや、チームのモチベーションを高められるかも重要です。

また、営業職や管理職での採用の場合、対人折衝力も不可欠といえるでしょう。対人折衝力は他者に対して、物事が有利に運ぶよう駆け引きをする能力です。 この能力が不足していると、人間関係や業務上の交渉事で不利な立場に追われることも少なくありません。

各業界に特化した知見

40代の転職活動では各業界に特化した知見の有無が重視されます。各業界に特化した知見は採用の段階で必要とされるだけでなく、実際の業務においても必要となる場面もあるでしょう。

40代には即戦力としての働きだけでなく、経営層としての立場での働きも求められるため、自社に関する知見のみならず、自社が属する業界や自社に関連する業界についての知見も求められます。

例えば、IT業界に転職する場合、プログラミング言語を取得しているかなどが重視されます。

ポータブルスキル

ポータブルスキルとは一言でいうと「持ち運べるスキル」です。

ポータブルスキルですが、「仕事の仕方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」に大きく分けられます。「仕事の仕方」には現状の把握や課題の設定力などが含まれ、「人との関わり方」には社内外の対応力が含まれます。

ポータブルスキルは特定の企業や業界でのみ通用するスキルではなく、どの企業や業界でも活用し、求められるスキルです。高いポータブルスキルがある人はどの業界でも歓迎される傾向にあります。

ITスキル

IT社会の今、ITスキルは転職における基礎的スキルといえるでしょう。特に、40代はマネジメント的立場で採用されることも多いため、部下からIT機器の使用方法を質問されたり、導入に関わったりするケースもあると考えられます。ITに苦手意識を持つのではなく、柔軟に対応できるようにしておかなければなりません。

また、WordやExcel、PowerPointに関するスキルのほか、コミュニケーションツールを問題なく利用できるかなども企業で働く上で重要です。

マネジメント力

40代で転職すると、転職先でいきなり部下を持つというケースもあります。年下の社員に共感する力や悩みを聞く力、さらには全体を指揮する力も重要です。

転職先で部下を教育する機会もあると考えられるため、人間力やリーダーシップ力は不可欠です。

40代で転職を成功させるための5つのコツ

40代の転職活動は、職業に関する知見や即戦力としての働きが求められるため、20代や30代以上にコツを抑えて行う必要があります。

40代で転職を成功させるための5つのコツを見ていきましょう。

キャリアの棚卸しをして自身の強みを見つける

キャリアの棚卸しとは、これまでに自分が学んだことや、取り組んできたことの整理です。自分の学びや経験を洗い出し、自分の強みを発見します。

例えば、これまでに携わった業務や関わったプロジェクト、マネジメント経験を明らかにしてみてください。加えて、スキルや資格などについても書き出してみます。

キャリアの棚卸しを行うことで自分に合った業界や、強みを活かせる企業を明らかにできます。また、自己PRや志望動機にも自分の強みや経験を具体的に組み込めるため、内容に厚みが出ると期待できます。

今後のキャリアプランを明確にする

転職後にどのように働きたいかや、将来どうなりたいかを明確に定めておくことは重要です。転職活動では転職先を単に探すのではなく、今後のキャリアプランを考慮して探すようにしましょう。

例えば、将来的に取り組んでみたいプロジェクトや携わってみたい仕事、社内での役割など、何を目標にして働きたいのか明確にしておきます。例えば、転職後に携わりたい仕事や目標を書き出し、それらを実施できる企業に応募してみるとよいでしょう。

また、面接で今後のキャリアプランについても話せると、採用担当者から好印象を抱かれるでしょう。

面接での言動に注意する

40代の転職活動では面接での言動に注意が必要です。

特に、面接での発言内容には気をつけるようにしましょう。漠然とした志望動機を話してしまうと、入社意欲が低い、自己分析や企業研究をしていないと受け取られることもあるので注意が必要です。 

面接では企業に対してどのように貢献できるかも話せるようにしましょう。企業は即戦力として働いてくれることを期待しているため、自分が企業に貢献できそうなことをアピールしてみてください。例えば、英語が得意な人は、海外の支局との橋渡しや英語でのクライアント対応が可能であることをアピールしてみましょう。

また、面接時に前職での批判や愚痴は禁物です。前職に対して不満があったり、客観的に見ても耐えがたい扱いを受けたりした場合でも感情的にならないようにしましょう。例えば、不満が多い人は、「入社後にいろいろと文句をつけて退職されそう」と思われる可能性があります。

転職先のニーズに合わせて新しく資格やスキルを得る

20代や30代に対して自社で育成しようという見方をしている企業が多いです。そのため、会社負担で研修や資格を受けられることも多々あります。しかし、40代には即戦力としての活躍が求められ、企業側は入社後の育成を前提としていません。応募する企業のニーズや転職したい業界に合わせて資格やスキルを自身で得る必要があります。

ただし、資格マニアにならないように気をつけてください。多くの資格を保有していれば評価されるわけではなく、企業側は業務に活かせる資格を保有しているかを重視しています。本当に必要な資格だけを取得するようにし、目的を履き違えないようにしましょう。

また、40代は資格だけで評価されることはあまりなく、資格に加えて実務経験やマネジメント力も重視されます。資格を取得したら実務経験を副業や複業で積む他、マネジメント経験を可能であれば現職でしておくとよいでしょう。40代の転職は資格だけで評価されるわけではありません。

家族や友人など周りの人のサポートを受ける

40代の転職活動は長引くことも想定されます。家族に状況を理解してもらい、金銭面や精神面でのサポートを受けられると、安定した気持ちで転職活動を行えます。

また、転職活動において友人も心強い存在となります。アドバイスや助言をもらったり、相談に乗ってもらったりすることで心が軽くなることも多いです。

転職だけではない | 40代からの3つのキャリアプラン

転職だけではない | 40代からの3つのキャリアプラン

40代で現職に不満がある人や、新しいことにチャレンジしたい人が考えるべき選択肢は転職だけではありません。転職をしなくても、抱えている不満や悩みが解消されるケースもあります。

ここでは、40代からの3つのキャリアプランを紹介します。

現職を続けながら副業(復業)をする

新しいことに挑戦してみたい人や、やりたい仕事があるという人には副業(複業)がおすすめです。現職を継続することで安定した給与を得ながら、自分の関心がある分野にも挑戦できます。例えば、IT関係は副業に強く、SEやプログラマーは副業との相性もよいです。

また、副業(複業)で、本業以上に高い成果を出せるかもしれません。その場合、実績や業績をポートフォリオにし、転職活動するのも一つの手です。

ただし、副業(複業)を禁止している会社があることや、両立が難しいだろうことに留意してください。

個人事業主として独立する

高いスキルがあり、やりたいことが決まっている人は、個人事業主として独立するという方法もあります。企業に属して働くよりも不安定、かつリスクがありますが、自分の能力を試しつつ、思うように働けます。

個人事業主として働くには、業務に必要なスキルを取得することが前提です。その後、クラウドソーシングサイトを利用したり、企業に営業したりして仕事を得ます。

また、個人事業主として成果を出せれば、関連する企業やクライアント企業に転職できるケースもあるようです。

会社を経営する

これまでの実績や経験を活かして、会社を経営するという選択肢もあります。事業内容によっては僅かな資本金でも会社を設立できます。

会社経営をする場合、まずは個人事業主としてある程度の経験を積み、実績を作るとよいでしょう。その上で、事業計画を立て、開業届を提出して法人化してみてください。場合によっては、資金集めも必要です。

ただし、会社経営にはリスクがつきものです。安定して経営できる保障や、前職以上に稼げるとは限らないことに留意しておきましょう。

まとめ

40代で転職活動している人のなかにはうまくいかず、悩んでいる人もいます。うまくいかないからと、手当たり次第に応募すると、空まわりになるので気をつけてください。転職活動がうまくいかない場合、一度立ち止まり、自分を客観視して原因を探ることからはじめましょう。その後で、転職エージェントや信頼できる人に相談してみてください。

また、40代のキャリアプランは転職だけではありません。企業で働くことだけでなく、会社経営や個人事業主、副業(複業)など選択肢はさまざまです。やりたい仕事が明確に決まっている人や、スキルに自信がある人は企業に属さないキャリアプランを検討してみてもよいかもしれません。