40代になると管理職になって責任ある立場になったり、専門知識が必要となる場面が増えたりして仕事に限界を感じる場面も少なくありません。

仕事に限界を感じる状態が続いてしまうと仕事のパフォーマンスは下がり、心身に影響を与える可能性があります。

40代で仕事に限界を感じる理由は人それぞれのため、原因にあった対処法を把握することが大切です。

この記事では、40代がどんなときに「仕事が限界」だと感じるのか、限界を感じたときにどう対処すればいいか具体的な方法を紹介します。

40代で現在の仕事に限界を感じている方や、対処方法を探している方はぜひ参考にしてください。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとしたキャリア支援実績は累計2000名以上。スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

40代で「仕事が限界」と感じる理由

「仕事が限界」と感じたとき、まずは理由を把握しましょう。

40代はどんな場面で仕事に限界を感じてしまうのでしょうか。考えられる理由は主に5つあります。

このまま会社にいて成長できるかわからない

パーソル総合研究所のデータによると、「働くことを通じた成長」の重要性について約8割が「重要」と回答しています。

「働くことを通じた成長」の重要性について約8割が「重要」と回答

参考:パーソル総合研究所「働くことを通じた成長」の重要性と実感をどれくらい感じますか? – 働く10,000人の就業・成長定点調査

一方で「働くことを通じた成長」を実感したのは20代・30代の割合が高く、年代が上がるごとにその数値は減少傾向でした。

参考:パーソル総合研究所「働くことを通じた成長」の重要性と実感をどれくらい感じますか? – 働く10,000人の就業・成長定点調査

成長意欲はどの年代でも高いにもかかわらず、年齢が上がるにつれて、成長を感じにくいことがわかります。成長を実感しにくい環境にいることで「いまの会社にいても成長できるのかわからない」という思考につながるのです。

上司との人間関係がうまくいかない

日本労働調査組合によると、職場の人間関係を「良好」と答えたのは全体の約3割です。下記年代別のグラフで解説していきます。

参考:日本労働調査「職場の人間関係に関するアンケート」

全体の3割が「良好」と答えたのに対して、40代は27.7%と全体よりも下回った数値です。

また、「職場の人間関係にストレスを感じている」と回答した人は 17.3%と、各年代と比較しても高い数値でした。

下記データによると「転職先での人間関係」について、40代は「直属の上司」との関係性に一番不安を感じる傾向が見られました。

参考:エン転職 1万人アンケート(2020年1月)「転職先の人間関係」実態調査

部下の教育に悩んでいる

先にも述べたように、40代になると管理職になる人もいます。

株式会社ラーニングエージェンシーの調査によると、管理職が抱える悩みで多いのは「部下の育成」です。

部下の育成に悩む要因として以下が挙げられます。

  • 忙しくて教育に割く時間がない
  • 教育側の教育スキルが不足している
  • 部下の意欲が低い

管理職は上層部や他の部署との連携をしたり、部署の戦略を考えたりしないといけないため、なかなか部下の教育に割く時間が取れません。

教育する側も一人ひとりが十分な指導スキルを備えているわけではないため、指導者によってばらつきがあります。

また、部下の仕事に対するモチベーションや仕事の得意・不得意も人それぞれのため、一人ひとりの特徴を把握しないと適切な教育になりません。

このようなことから、40代で管理職になる人は部下の教育に悩む傾向があります。

会社の先行きに不安を感じる

40代では会社の先行きに不安を感じて、いまの仕事では限界だと感じる人もいます。

株式会社マンパワーが実施したアンケート調査によると、40代の会社員が1番不安に感じている項目は「会社の業績・成長・将来性」でした。

引用:40歳代社員意識調査(提供:日本マンパワー) – HR総研 | 人事のプロを支援するHRプロ

かつては「大企業にいれば安心」という風潮がありました。

しかし昨今のコロナウイルスの影響で大企業でも倒産する会社があったり、社員に休業や退職を促したりする事例があります。

また、40代は管理職になる人が多い年代であり、管理職は経営陣との距離が近い立場です。

経営陣と距離が近くなると、会社の経営に関する意見を聞く機会が増えるとともに、自社の先行きに不安を感じる場面も多くなります。

このようにさまざまな要因で会社の先行きに不安を感じた結果、いまの会社での仕事に限界を感じるのです。

待遇面に不満を感じる

40代が待遇面に不満を感じる項目は主に以下が挙げられます。

  • 給料
  • 評価制度が不満
  • 休みが少ない

給料は一定水準に達すると大幅に増やすことは難しく、評価制度は企業によって判断基準が曖昧なケースがあることから不満を感じやすくなります。

会社員の給料は勤続年数や年齢、職能評価以外にも業界の平均年収によっても変化します。

令和2年賃金構造基本統計調査の概況によると、40〜44歳の男性で金融業・保険業の年収は約578万円に対し、宿泊業・飲食サービス業は約308万円です。

業界の市場と比較して調べてみたときに、自分の会社が業界水準よりも低い場合は転職を検討しましょう。

労働基準法で定められている年間休日は「週1日」または「4週間を通じて4日間」が最低ラインです。

年間休日を何日設定するかは企業の判断によるため105日〜125日とばらつきがあります。

現職で休みが少ないと感じる人は、年間休日も意識して転職活動をすると解決するかもしれません。

40代で仕事に限界を感じたときの5つの対処法

40代で仕事が限界だと感じる理由は人によってさまざまです。では、仕事に限界を感じたとき、どのように対処すればよいでしょうか。

この記事では以下の5つの方法を紹介します。

いまの部署で自分にできる仕事を探す

環境を変えなくても、いまの部署で自分にできる仕事を探すことで問題が解決する場合があります。

カナダの精神科医であるエリック・バーンの著書によると「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」と唱えました。

この言葉のように、自分の仕事に対する考え方や姿勢が変われば状況も変化するのです。

いまの部署で自分にできる仕事を探すとき、周りの人がやらなそうなことに取り組むとよいでしょう。

例として、毎朝早く出勤して掃除をしたり、チームの雰囲気を盛り上げたりすることが挙げられます。

周りの人がやらなそうなことを率先して取り組むことで周囲から信頼を得られ、その結果自己肯定感の向上に繋がっていくのです。

自己肯定感が高まることで、仕事に対する意識も前向きになる可能性があります。

部下や上司とコミュニケーションを取る

部下や上司との人間関係に悩んでいる場合は、相手と密にコミュニケーションを取ることも現状を改善する方法の一つです。

相手視点に立って物事を考えることで、円滑にコミュニケーションを取れます。

例えば相手が上司の場合、上司の視点に立って物事を考えることで、指示された発言の意図がわかる可能性があります。

上司が求めていることを理解することで信頼関係を築いていけるのです。

相手が部下の場合は、自分から気軽に接しやすい環境をつくることを心がけましょう。

部下が打ち解けやすい環境を作ることで、上司である自分に相談しやすくなります。

部下が何に悩んでいるのかも把握できるので、部下の教育にもつながるのです。

社内で異動ができないかを持ちかける

いまの部署での仕事が限界だと感じたら、社内で異動ができないか確認することが大切です。

社内で異動したいときは以下の方法を実践しましょう。

  • 社内公募制度に応募する
  • いまの部署で結果を出す
  • 異動したい部署で求められる専門性を身につける
  • 前向きな理由を上司に伝えて相談する

異動の理由は「いままでの経験を活かして興味がある〇〇の部署に異動したい」「キャリアアップしたい」など前向きに伝えるとよいでしょう。

社内異動は転職よりも別の職種に挑戦できる可能性があるため、異動したい部署を目指して努力することによって自身の成長にもつながります。

家族や友人など周りの人に相談する

職場の人に仕事の悩みを話せない場合は、周りの家族や友人に相談しましょう。

悩みを打ち明けられる人がいることで、仕事のつらさも軽減できます。

普段生活していると職場の人との付き合いが増えるため、仕事の話は職場の人と話す機会が多いかもしれません。

しかし職場の人に話すと、話した会話の内容によっては社内で広がってしまうこともあります。

家族や友人など、あえて「職場に関係ない人」に話すことで、社内に話が広がる心配もなく第三者の視点で悩みを聞いてもらえます。

精神的に追い込まれた際の注意事項は「一人で悩むこと」です。話すことで気持ちが整理できたりストレスを発散したりできるので、仕事が限界だと感じたときは周りの人を頼りましょう。

転職を検討する

部署の状況が変わらなかったり、信頼できる人に相談してみても改善されなかったりする場合は転職も視野に入れて行動していきましょう。

会社や上司など外的要因はなかなか自分の力で変えられません。

いまの仕事で限界を感じたままの状態でいると心身ともに疲れてしまいます。

転職すると職場環境が変わるため、いままで感じていたストレスは改善される可能性があります。

一方で、いままで不満を感じていなかった部分で悩む可能性もあるため、優先順位をつけて転職するかどうか判断するのが大切です。

現状を整理し、転職の優先順位を考えたうえで本当に転職すべきか決断する必要があります。

40代の転職の現状|仕事の限界を迎えても転職できる?

40代で仕事に限界を感じたら、転職も一つの手段として考えるのがよいと述べました。

しかし、転職活動は転職市場の現状を理解したうえで進めていく必要があります。

以下データと照らし合わせながら解説していきます。

入職率は約5%

厚生労働省のデータによると、40代の転職入職率の割合は約5%です。

転職入職率は20代や30代での数値が高く、年齢が上がるにつれて減少傾向になります。

データでみても、40代の数値は20代・30代と比較して低い数値のため、若い世代と同じように転職活動をしても自分の希望通りになる可能性は低いです。

40代での転職活動はこのような現実も把握したうえで進めていく必要があります。

男女関係なく40代での転職活動は簡単ではない

上記のデータを年代別にみていきましょう。

年代男性女性(計)女性(一般)女性(パート)
40〜44歳4.06.54.39.6
45〜49歳2.35.54.37.0

男性の転職入職率は25歳から減少しています。

男性の転職入職率は1番高い数値でも8.5%で、40代では20代の半分の数値になっていることから、転職活動が簡単ではないことがわかります。

女性の転職入職率は男性よりも高い数値ですが、これは一般とパートの両方が含まれているからです。

ここでいう一般とは常用労働者のうち、パートタイム労働者以外の労働者を表します。

パートの方が採用されやすく人材の流動性が高いことから、パートの転職入職率は高い傾向です。

40代の一般の女性の数値も4.3%と低い数値であることから、男性女性問わず、40代での転職活動は対策を練って動く必要があります。

40代で転職を成功させる3つポイント

男女関係なく40代の転職活動は容易ではないため、正しいやり方で転職活動を進めていく必要があります。

40代で転職を成功させるポイントは以下の3つです。

在職中に転職活動を進める

40代で転職を成功させるためには、在職中から転職活動を進めるのがオススメです。

在職中に転職活動をすることで、退職してから経済的な不安を覚えたり、焦りで転職先を決めたりしなくてすみます。

例えば、在職中に転職活動を進める際、Wantedlyを活用して企業研究をしていくのがよいでしょう。

Wantedlyは給料や条件ではなく、価値観への共感で企業と転職者をつなげるビジネスSNSです。ベンチャー企業や大手企業など幅広い企業が利用しているのが特徴です。

Wantedlyでは「話を聞きに行きたい」ボタンを押すと以下の項目が表示されます。

  • 少しだけ興味があります
  • まずは話を聞いてみたい
  • 今すぐ一緒に働きたい

いきなり面談ではなく、カジュアルな面談の場として企業の話を聞けるので、在職中でも企業研究のために活用できます。

キャリアの棚卸しをする

40代で転職成功させるためにキャリアの棚卸しは欠かせません。

これまでのキャリアにおいて「自分が何をやってきたのか」「どんな価値観を大切にして仕事をしてきたか」を棚卸しすることで、会社の選び方や転職活動の軸が定まります。

キャリアの棚卸しではこれまでの経験とスキルを中心に整理していきましょう。

携わった仕事を時系列で書いていくのがオススメです。

時系列に書けたらそれぞれの成果を書いていきます。

例えば、管理職はマネジメントの実績を入れるとよいでしょう。営業職は営業成績と具体的なエピソードをまとめていくことで、書類を作成する際のアピールポイントになります。

書類に実績を書くときは「成果を出すためにどのような行動をしたのか」も書くとよいでしょう。

成果を出すまでの過程を書くことで、採用担当は転職希望者が自社で活躍できる人材かどうかを判断できます。

応募する企業によって求められる人物像は異なります。

応募先企業がどんな人材を求めているか分析し、企業に合ったアピールをすることが大切です。

転職エージェントに相談する

一人で転職活動するのが不安な人は転職エージェントに相談しましょう。

転職エージェントでは転職サイトにはない非公開求人に出会える可能性があるのがメリットです。

また、転職エージェントには転職活動をサポートするキャリアアドバイザーがいて、転職希望者と企業のやり取りを仲介してくれます。

不安がつきまとう転職活動においてキャリアアドバイザーの存在は心強い存在です。

転職エージェントを選ぶ際は以下のポイントで判断していくのがオススメです。

  • 希望する業界・職種の求人数が豊富
  • 希望する勤務地の求人が豊富
  • どんなサポートが強みなのか
  • 自分に合ったキャリアアドバイザーがいるか

転職エージェントには「年齢特化」や「業界特化」など、さまざまな強みを持ったサービスがあります。

一つではなく複数のサービスを利用することで自分に適した転職エージェントを見つけられるので、上記の観点を見ながら有効活用していきましょう。

まとめ

このように、40代はさまざまな要因で仕事に限界を感じています。

仕事に限界を感じたときは、「なぜいまの仕事で限界を感じているのか」の原因を把握したうえで、適切な解決策を見つけることが大切です。

いまの会社でできることを探したり信頼できる人に相談したりすることで、現状を打破できる可能性があるのでまずは行動に移しましょう。

行動に移しても課題が解決できないようであれば、転職も視野に入れましょう。

40代でも成功ポイントを押さえれば希望する企業に転職できる可能性があります。

40代で仕事に限界を感じたら、自分の市場価値や40代の転職市場を把握したうえで、転職活動を進めていきましょう。