終身雇用が崩壊し、人生100年時代とも言われる今、長期的なキャリア軽視絵を見据えて「セカンドキャリア」を考える人が増えてきます。一言にセカンドキャリアと言っても、新たな業種へ転職する人、今までのキャリアを活かし独立・起業する人など第二の人生のはじめ方はさまざまです。
これまでのキャリア形成は、企業に委ねられており、スキルもキャリアも自然と身につけることができました。しかし、転職が当たり前となった現代では、個人が主体的にスキルアップやキャリア形成を積み重ねていかなくてはいけません。自らがどんなスキルを身につけ、キャリアを築くのかが重要になっているのです。
主体的なキャリア形成の重要度が広まっている一方で、自分のキャリアが想像できず、セカンドキャリアも何から考えるべきか悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では、セカンドキャリアの見つけ方から成功させるポイント、国や企業の支援例まで幅広く紹介します。
記事の目次
「セカンドキャリア」とは
そもそも「セカンドキャリア」とはどんな意味でしょうか? これまでの「セカンドキャリア」は、主にプロスポーツ選手が引退したあとのキャリアを指す言葉として使われてきました。
一方で、セカンドキャリアの重要性が幅広く認識されるようになった今、人事労務用語辞典によると以下のように記されています。
セカンドキャリアとは、「第二の人生における職業」のことです。人生100年時代といわれる現代、定年や結婚が人生のゴールではないという認識も広がり、誰もがセカンドキャリアに向き合う時代が到来しています。
引用元:コトバンク「セカンドキャリア」
定年後のキャリア、女性であれば結婚・出産後のキャリア、子育てが終わった世代など対象となる年齢に決まりはありません。また「第二の人生における職業」の幅は広く、この職業しか選べないといった縛りもありません。
これまでの人生を振り返り、長年の夢を実現したり、経験を活かして新たなキャリアにチャレンジしたり、その人にとって最善の選択をすることが求められます。
ちなみに、35歳以上の人に聞いたアンケートによると、92%が「セカンドキャリアについて考えたことがある」と回答しました。
主に以下のような理由が挙げられるようです。
- 生涯現役で働き続けたい
- 老後の資金に不安がある
- やってみたい仕事がある
もしこれまで一度もセカンドキャリアについて考えたことがないという方は「何歳まで働きたいか」「定年後にやってみたいこと」などを踏まえて考えてみてください。
セカンドキャリアが重要な3つの背景
いまの時代、定年退職後に十分な退職金と、安定した生活ができるほどの年金がもらえる時代ではなくなりました。「セカンドキャリア」を意識する必要性が高まった背景を考えてみましょう。
終身雇用制度が崩壊しつつある
新卒採用から定年まで同じ会社に勤める「終身雇用」は、高度経済成長期の日本経済を支えた制度でした。しかし、その終身雇用制度も崩壊しつつある時代を迎えています。
2022年春に『トレンドラボラトリー』が実施した意識調査では「90%以上の人が一つの企業で働いていない(働きたいと思っていない)」と回答しています。これまで終身雇用制度で守られてきた日本では、新卒採用を強化した「メンバーシップ型雇用」が中心でした。
これは、日本経済の成長と企業の成長がイコールだったため、一つの会社でスキルアップすることが叶う時代だったと言えます。
バブル崩壊以降は、日本経済の成長=企業の成長ではなくなってしまいました。そこで、経験者を採用する「ジョブ型雇用」へとシフトしていきます。
現代では、転職しながらスキルアップするのが一般的となったと言えるでしょう。
「キャリアプラン」の必要性が高まっている
働き方が多様化している今、キャリアプランの必要性は高まっています。
キャリアプランとは「将来の理想像を明確にし、その実現を目指して構築した具体的な行動計画」のこと。簡単に言えば、自らの将来の仕事について主体的に考えていくことです。人生100年時代をどう生き抜くのか、定年後まで設計していくことが大切になるでしょう。
どんなキャリアを作る場合でも、キャリアプランは必要です。転職でも、キャリアプランが明確でなければマッチする会社を見つけづらくなってしまいます。
一方で、キャリアプランの必要性は高まっている中でも、日本人のおよそ7割がキャリアプランを考えていないと言われています。
キャリアプランを明確にすることで、急激に変化する現代でも企業に頼らずにキャリアを構築していけます。まだ今後のキャリアについて考えたことがない方は、以下の記事も参考にしてみましょう。
>>関連記事:キャリアプランとは | メリットから必要な背景、作り方まで完全網羅
リスキリングが重要になっている
「リスキリング」は、学び直しを意味する言葉です。
経済産業省が実施した「デジタル時代の人材政策に関する検討会(2021年2月26日/リクルートワークス研究所・石原直子氏)」の資料によると、リスキングは以下のように定義されています。
リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
引用元:経済産業省, 第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会
さらに、ビズリーチがビズリーチ会員と、企業の経営層・人事担当者を対象に行ったアンケートによると半数以上が「リスキリングに取り組んでいる」と回答しています。
これだけ多くのビジネスパーソンがリスキリングに取り組む背景としては、自分の市場価値の向上が挙げられます。超転職時代に突入した今、どの世代にも学び直しと新しいスキル取得が求められているのでしょう。
年代別のセカンドキャリア
ここからは、30〜50代ごとがそれぞれ考えておくべき「セカンドキャリア」について紹介します。当たり前ですが、年代ごとに社会から求められるスキルは変化します。自身の年代ではどんなことを重視すべきか、一緒に考えていきましょう。
30代は「キャリアの棚卸し」が重要
一般的に30代は、セカンドキャリアを考えるには早いと思われる年代かもしれません。しかし、30代はさまざまな経験を経て、ようやく地に足がついた頃と言えるでしょう。
30代前後は、転職を経験する人も多い年代です。dodaが発表した転職成功者の平均年齢は、男性が32.5歳、女性が29.9歳、2021年の全体平均は31.7歳と報告されています。
何をもって「成功」とするかは人それぞれですが、30代はこれまでの経験を活かし転職を成功させている年代と言えるでしょう。30代は「キャリアの棚卸し」をできているかどうかで、転職の成功が決まると言っても過言ではありません。「キャリアの棚卸し」とは、自分の得意・不得意を見直し、自分自身のスキルを整理すること。
今後のキャリア形成にも重要になってくるため、まだ「キャリアの棚卸し」をしていない30代はセカンドキャリアを考えるきっかけとして、棚卸しを実践してみましょう。
40代は「ポータブルスキル」を活かす
40代でも、現職を辞め、セカンドキャリアについて考え始める年代かもしれません。特に40代の後半となれば、20年以上の社会人経験を経ているので、このまま定年まで働き続けるのか、それとも転職をしてさらなるスキルアップを狙うのか考えるタイミングでもあるでしょう。
40代は未経験からの転職よりも、すでに備わっているスキルを活かした転職が選択されます。しかし、スキルだけではライバルも多く、納得できる転職は難しい時代になりました。40代で大切になってくるのは「ポータブルスキル」と呼ばれる、業種や職種が変わっても通用する「持ち運びできるスキル」です。
厚生労働省が発表した「ポータブルスキルの要素」は、以下の9つが挙げられています。
仕事のし方 | 現状の把握 | 取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方 |
課題の設定 | 事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方 | |
計画の立案 | 担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方 | |
課題の遂行 | スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方 | |
状況への対応 | 予期せぬ状況への対応や責任の取り方 | |
人との関わり方 | 社内対応 | 経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方 |
社外対応 | 顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方 | |
上司対応 | 上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方 | |
部下マネジメント | メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方 |
自分のポータブルスキルがわからないという人は、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト内の「ポータブルスキル見える化ツール」を使ってみましょう。対応時間10〜15分ほどで自分のポータブルスキルがグラフとして見える化されます。
50代は「定年後のキャリア」を見据える
50代は「人生100年時代」を考えるとちょうど折り返し地点です。この年代になると「セカンドキャリア」を耳にする機会が増えるでしょう。しかし、30〜40代のようにすぐに転職を考えるのではなく定年後のキャリアを見据えることが重要です。
AllAboutが50代の男女に聞いたアンケートによると、定年後も働きたいと考えているのは全体の70.5%もいました。
家庭の経済状況も踏まえながらですが、社会とのつながりをもつという意味でも「働きたい」と考える人が多いことがわかります。セカンドキャリア=転職と考えず、50代は定年後の働き方から考えるのがオススメです。
女性のセカンドキャリアは「ライフステージ」ごとに考える
女性のキャリアを考える際に、ライフステージを考えることが重要です。出産、産休明け、子育て、子供の成人、定年退職など、必然とセカンドキャリアを意識する機会は多いでしょう。
特に、出産は女性にとって、大きなターニングポイントになります。産休を取得した場合は、以下のようなセカンドキャリアが想定されます。
- 職場に復帰する(別部署の異動も)
- 転職する
- フリーランスとして独立する
- 起業する
また、育児中や、子どもが成人した後は、フリーランスとして働いたり、アルバイト・パートとして働くケースが多くなっています。
いずれの場合も、自身のライフプランと照らし合わせながら、どのような働き方を実現したいのかを考え、逆算したプランニングを行うことが重要です。
個人がセカンドキャリアを考えるメリット
ここまで年代別、性別による「セカンドキャリア」をお伝えしましたが、個人がセカンドキャリアを考えていくことにはどんなメリットがあるのでしょうか?
キャリアの選択肢が増える
これまでのキャリアを振り返り、今後のことを考えていくと「自分の新たな可能性」に気が付きます。
「一つの会社で定年まで働く」がスタンダードだった時代と比べて、働き方の選択肢は確実に増えています。自分にはこれしかないと思うより、新しい業界・業種にチャレンジできるかもしれません。いくつか選択肢も紹介しましょう。
- 新卒で入社した会社で定年まで働く
- 自分のスキルを活かして転職する
- 異業種に挑戦する
- 憧れだった店舗経営をする
- 本業だけでなく副業(復業)もはじめる
- いくつかの企業と業務委託契約で働く
- スキルを活かし、フリーランスとして独立する
- 仲間を集めて独立・起業する
- 早期退職し、パートタイムで働く
- 移住先で新しいビジネス(農業や店舗経営)をはじめる
働き方が自由になった分、セカンドキャリアの選択肢は広がりました。今後の人生と共に、セカンドキャリアについて考えてみましょう。
企業に頼らない「キャリア自律」の意識が芽生える
日本での働き方が変わり、終身雇用や年功序列など従来の制度が見直されています。そのような変化の中で大切になってくるのが「キャリア自律」です。
「キャリア自律」とは、自己実現に向け、自らの意思で能力やスキルを伸ばそうとする積極的な姿勢のこと。どんな企業で働いていても、自ら主体的にキャリアアップしていくことをさします。変化の激しい時代でも、自分の理想に向かって突き進めます。キャリア自律について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
>>関連記事:キャリア自律とは|実現に向けた5ステップから企業事例、メリットまで網羅
企業が社員のセカンドキャリアを支援するメリット
近年「セカンドキャリア支援制度」を利用する企業も増えています。これは、40〜50代向けの社員に対し、セカンドキャリアをサポートしてくれる制度です。例えば、早期退職希望者に対して研修を行ったり、独立・起業をサポートしたり、ミドル・シニア層向けの社員に対してセカンドキャリアについてじっくり考える時間を提供しています。具体的にどんなメリットがあるのか紹介します。
社内の活性化を図れる
これまで紹介してきたように、現在は「ジョブ型雇用」が中心となり超転職時代へと突入しています。同じ社員が長く在籍している状態よりも、さまざまな世代が入れ替わりをすることで、社内の活性化が図れます。
無理やり早期退職させるような企業はもちろんNGです。しかし、早期退職を希望している社員と社内の活性化を図りたい企業にとっては、Win-Winの関係と言えます。「セカンドキャリア支援制度」をフル活用し、独立・企業や転職を成功させている人も少なくありません。早期退職や独立起業を検討したい人は、まず今勤めている企業にこの制度があるかから、確認してみましょう。
社員のキャリア形成を促進できる
早期退職希望者がいない場合でも「セカンドキャリア研修」などを実施することで、社員がキャリア形成を考えるきっかけを与えられます。キャリア意識の高い社員を育てることで、社員一人ひとりのメリットになりますが、それ以上に企業側のメリットがあるでしょう。
「キャリア形成」とは、自分自身の「理想の将来像」を考えることです。キャリア形成について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
>>関連記事:「キャリア形成」とは何か | 必要とされる背景から具体的な6つのステップまで解説
セカンドキャリアを成功させる5つのポイント
ここからは、セカンドキャリアを成功させるポイントをご紹介します。何からはじめたらいいか悩んでいる方や、自分で考えた答えに自信がもてない方の参考になれば嬉しいです。
中長期的なキャリアプランを明確にする
まず大切なことは「中長期的なキャリアプランを明確にする」ことです。例えば「定年後は喫茶店を開業する」だけでは、セカンドキャリアを考えたとは言えません。
開業資金の集め方、開業までの準備、開業後の営業計画など中長期的な計画もしっかり考えましょう。また、このキャリアプランは年月と共に変化しても問題ありません。「必ずこの通りにするもの」ではなく、柔軟に対応可能なプランとしておくことで、変更が出た時にも焦ることはないでしょう。
社内のキャリア相談室を活用する
次に紹介するのは「社内のキャリア相談室を活用する」です。セカンドキャリアはひとりで考えていても、なかなか答えに辿り着くのが難しいかもしれません。第三者であるキャリアカウンセラーなら客観的な意見をくれます。
また、セカンドキャリアは自身だけで決められるものではありません。家族の協力や、上司・部下との関係にも関わる場合があります。考えていたセカンドキャリアにはどんな影響が出てくるのか、プロに相談するのもオススメです。
セミナーや講座に参加する
また「セミナーや講座に参加する」ことも大切です。セミナーや講座なら登壇者に直接質問でき、理解度も高くなります。ウェブサイトや本で自主学習することも大切ですが、経験者のリアルな声を聞きたいのなら、セミナーや講座がオススメです。
最近ではオンラインでの実施も増えてきました。オンラインであれば、参加者同士がSNS上でつながりを作ることも容易です。ここで出会った仲間とセカンドキャリアへの一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
キャリア相談できるサービスを利用する
コロナ禍でさまざまなサービスがオンライン化しました。これまで対面が主流だったキャリア相談も電話やオンラインで気軽にできるようになっています。キャリア相談は、以下のような人にオススメです。
- 無料で試したい人
- じっくりキャリア形成したい人
- 学びながらセカンドキャリアを考えたい人
- 転職サービスと組み合わせて相談したい人
一言にキャリア相談といっても、そのサービスの対応幅も広く準備されています。自分にあったキャリア相談を選び活用していきましょう。
キャリアプランに合わせた資格を取得する
最後に紹介するのは「キャリアプランに合わせた資格を取得する」です。将来的に独立・起業を目指している方や、異業種への転職を考えている方なら、セカンドキャリアに向けての資格取得は欠かせません。闇雲に資格取得を目指すのではなく、特に以下3つについては意識しておくことが大切です。
- 資格取得に必要な時間や費用
- 資格の合格率
- セカンドキャリアへの必要性
セカンドキャリアに役立つ資格については、以下の記事も参考にしてみましょう。
>>関連記事:セカンドキャリアに役立つ資格13選 | 選定ポイントから注意点まで
企業のセカンドキャリア支援例
ここからは、企業のセカンドキャリア支援について詳しくご紹介します。個人的にセカンドキャリアに向けて取り組むことも大切ですが、外部サービスを使うとなると高額な金額がかかってしまうこともあります。社内制度であれば、無料もしくは支援制度によって少ない金額で受けることが可能です。そもそも社内制度として設けられているのか、似たような制度はないか確認してみましょう。
キャリア開発研修
キャリア開発研修は、外部講師を招いて行われることが多い研修です。グループワークやディスカッションを通じて、キャリアについてじっくり考えていくことができます。
入社時の研修として実施している企業が多いですが、年代ごとや役職ごとによって研修されるテーマが変わります。企業規模問わず、さまざまな業種・業態で採用されている研修です。企業のホームページ等でも公表されているので、これから転職を考えている方は、キャリア開発研修の有無についても確認しておくといいでしょう。
早期退職優遇制度
これは、定年前に早期退職をする社員を対象とした優遇制度です。リストラや希望退職とは異なり、退職金の割増や、有給休暇の買い上げ、再就職支援など手厚い優遇が行われます。
セカンドキャリアが明確な人にとってはよい制度ですが、一時的な心の揺らぎで活用するのはおすすめしにくい制度です。すぐに次の就職先やキャリアが見つかればいいですが、そうでない場合「働き続けていた方が生涯年収は高かった」という事態になりかねません。どんなセカンドキャリアを築きたいのか目的を持った上で活用しましょう。
再就職支援制度
「再就職支援制度」も早期退職優遇制度と同じことが言えます。この制度では、再就職に必要なキャリアカウンセリングや履歴書・職務経歴書の添削、面接練習など手厚い支援が受けられます。再就職をバックアップしてくれる素晴らしい制度ですが、必ずしもいまの職場よりもよい条件で再就職できる保証はありません。
自分の目指したいキャリア、狙っている再就職先、年収などビジョンを明確にした上で活用するようにしましょう。
政府(国)のセカンドキャリア支援例
企業だけでなく政府もセカンドキャリア支援を積極的に実施しています。2017年に決定された「働き方改革実行計画」によって、日本でも副業(復業)をはじめとした多様な働き方が実現されました。日本には、どのような支援制度があるのかおさらいしておきましょう。
募集・採用時の年齢制限の禁止
日本では労働者を募集する際の年齢制限が禁止されています。これは2007年に改正された雇用対策法が関係しています。
雇用対策法が改正され、平成19年10月から、事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。
引用元:厚生労働省, 募集・採用における年齢制限禁止について
求人票に「〇〇歳まで」と明記することや、年齢によって不採用にすることが禁止になっているのです。しかしいくつか例外もあります。定年以上の採用をしない場合や、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者層(35歳未満)を採用する場合もあります。詳しく知りたい方は、厚生労働省のリーフレット(PDF)で確認しましょう。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、計画的に人材育成を実施する「事業主」を対象とした支援制度です。例えばeラーニングを活用しながら、訓練経費や訓練時間に応じた賃金助成を行います。2022年8月時点で以下8つのコースが準備されています。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 特別育成訓練コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
- 人への投資促進コース(新設)
条件や制度について詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。
【優良事例】企業のセカンドキャリア支援の具体例
ここからは、企業が取り組むセカンドキャリア支援について、産労総合研究所のサイトに掲載されている事例を紹介します。これから社内で新たな制度を作りたいと考えている人事担当者、転職を考える際の参考にしたい方にも役立つ事例です。
日清食品ホールディングス
シニア社員にイキイキと働いてもらうために、新たなキャリア開発研修が導入されました。
それぞれのシニア社員が、専用のシートを使いキャリアを振り返りながら、知識や経験を認識させていきます。自分のキャリアを把握した上で、新規役割に本気でチャレンジしたいと希望するシニア社員には、役員面接を実施。プレゼンテーションの機会を設け、有益性があると認められれば、希望した公募ポストへ異動するそうです。実際に5人の社員が応募し、2人が合格しました。
両備システムズ
新入社員、入社3年目、30歳時、41歳時、51歳時と全社員対象の必須研修として「キャリアセミナー」を実施しているそうです。51歳時のキャリアセミナーでは、3人一組となりすごろく形式の探求ワークを行い、定年後までのありたい姿を想像させます。
研修では、グラレコ(グラフィックレコーディング)を使いセミナーを「見える化」させることも心がけているそうです。セミナー後には、希望者にキャリアカウンセラーと面接の時間も作っており、バックアップ体制も充実しています。幅広い年齢の社員を対象に実施することは企業にとっても負担になりますが、率先して取り組んだことでよい循環を生み出した事例といえるでしょう。
前川製作所
この企業では年齢に関係なく人材を活用されており、最高年齢80歳(2020年時点)の社員が2名働いているそうです。毎年50歳を迎える社員を対象に、今後を考える「場所的自己発見研修」が実施され、59歳では今後働き続けるかどうかを問う「継続雇用者用のキャリア希望シート」が活用されます。
年齢で定年のボーダーを引くのではなく「健康である」「やりたいことがはっきりしている」「周りがその人を受け入れている」の3つを条件に雇用を決定させています。人生100年時代を生きる上でも先駆けとなるような取り組みです。
まとめ
今回は「セカンドキャリア」について徹底的に解説しました。この記事を参考に少しでも多くの方が、セカンドキャリアについて考えるきっかけを作っていただければうれしく思います。あなたが納得するセカンドキャリアを築き、素晴らしい人生をリスタートさせましょう!