40代や50代になると自身のセカンドキャリアと真剣に向き合う人も増え、定年を迎える前に会社を退職する「早期退職」について本気で検討する人も少なくありません。
早期退職をうまく活用することで、その後の人生が好転する可能性もあります。
しかし、早期退職にもいくつか種類があり、活用する制度によって内容が異なるため、内容や注意点をしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、早期退職後の概要から、その後キャリアプラン、生活について詳しく紹介していきます。
早期退職する前に必要な準備ポイントやおすすめの行動についても詳しく紹介するので、早期退職を検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
早期退職のその後|40代、50代からの3つのキャリアプラン
40代、50代で早期退職をした場合、どのようなキャリアプランがあるのでしょうか。ここでは、その後の3つのキャリアプランについて紹介していきます。
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転職する
1つ目のキャリアプランは転職です。早期退職後に、さらなるキャリアアップや仕事のやりがいを求める人におすすめです。
早期退職後に転職する場合、事前に自分のやりたいことやこれまでのキャリアを生かせる仕事などを、ある程度絞り込んでおくことが重要となります。
また、40代や50代で転職することは決して簡単なことではなく、想像以上に時間と労力が必要となることも想定しておく必要があります。
早期退職後の転職をスムーズにすすめるためにも、キャリアの棚卸しやスキルアップなど事前の準備をしっかりとおこないましょう。
副業(複業)を視野に入れる
これまでの経験やスキルを生かし、転職するだけでなく、同時に副業(複業)に挑戦する人も少なくありません。副業のメリットは、本業とは別に収入を得られる点やスキルアップを目指せる点です。
40代50代で早期退職した後に始める副業には、例えば下記のようなものが挙げられます。
- 外資系企業で培った外国語スキルを生かして翻訳の副業
- ソフトウェア開発の経験を生かしたプログラミング関係の副業
- ライティングスキルや高い専門知識を生かしたWebライターの副業
これまで培った経験やスキルを生かしたものだけでなく、今後のセカンドキャリアを見据えて新たに学び始めたもので副業に挑戦するのもひとつの選択肢です。
本業以外の収入を得たい人は、ぜひ副業を始めることも検討してみてください。
独立起業する
早期退職してから独立起業することも選択肢のひとつです。早期退職後に独立起業するメリットは、早期退職制度で割増された退職金を開業資金に充当できる点です。
前章でも紹介した通り、早期退職制度を利用することにより通常の定年時に比べて平均で約400万円もの退職金の割増が見込めます。
- 独立起業することが夢だった
- 起業で実現したい自分の目標がある
- これまでの知識やノウハウを生かして独立したい
このような人は、早期退職制度を活用して独立起業に挑戦してみてはいかがでしょうか。
早期退職のその後の人生を豊かにする5つのポイント
早期退職制度は、うまく活用することでその後の人生を有利に進めることが可能ですが、すべての人に当てはまるわけではありません。
ここでは、早期退職制度を活用し、その後の人生をさらに豊かにするポイントを紹介します。
セカンドキャリアを早期退職する前に明確に決める
早期退職するうえで、自身のセカンドキャリアを明確に決めておくことは重要です。セカンドキャリアが決まっていないと、早期退職制度のメリットを最大限生かしきれないからです。
早期退職制度を利用すると、下記のような待遇を受けられる可能性があります。
- 退職一時金の割増
- 会社から「再就職支援」「キャリア開発休暇」など、転職サポートが受けられる
- 会社都合の退職となる「早期希望退職制度」の場合、失業手当の受給が早くなる
早期退職制度にはさまざまなメリットがありますが、セカンドキャリアが決まっていなければ、メリットを最大限生かせません。
下記は、早期退職制度のメリットを活用した具体例です。
- 退職後にやりたい仕事が決まっているが、転職活動が長引くことを想定して退職金を生活費に充当。さらに、キャリア開発休暇を利用して資格の取得を目指す
- 現職で培った経験とスキルを生かし、早期退職後は独立を希望。退職金は起業資金として利用
早期退職制度を利用する前に、自身のセカンドキャリアを明確にしておきましょう。
今後の時間の使い方を考える
早期退職後の時間の使い方が決まっている人も、早期退職後の人生が好転する可能性が高い傾向です。
早期退職制度にはメリットが多く、魅力的に感じる人も少なくありません。しかし、早い段階で会社を退職することで、その後の人生の時間の使い方が大きく変わります。
早期退職後の時間を使って「趣味の時間を増やす」「起業準備の時間に充てる」など、自分の時間をどのように使いたいのか、明確にしておきましょう。
早期退職した後収入が減少する可能性を考慮する
早期退職後に収入が減少する可能性があるので注意が必要です。
下記は、40代、50代で転職した人の収入変化を表した表です。
増えた | 減った | 変わらない | |
40歳〜44歳 | 39.9% | 22.6% | 36.4% |
45歳〜49歳 | 34.1% | 30.4% | 34.4% |
50歳〜54歳 | 32.2% | 31.3% | 35.4% |
55歳〜59歳 | 22.6% | 51.1% | 25.8% |
40代、50代の転職では、約30%の人の年収が減少している結果となっています。
早期退職には、退職一時金の割増などのメリットがありますが、退職後に「収入が減少する可能性がある」という現実も把握しておくことが大切です。
年金の支給額を確認する
早期退職をすると年金の支給額が減少する可能性があります。
老後の年金は老齢厚生年金と老齢基礎年金がありますが、それぞれの特徴について見ていきましょう。
【老齢厚生年金】
老齢厚生年金の支給額は、受給開始までの平均の給料と加入月数によって決まります。そのため、仮に50歳で早期退職し転職しなかった場合、加入月数が15年分減ることになり年金額が少なくなります。
【老齢基礎年金】
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの保険料納付月数で支給額が決まります。仮に50歳で早期退職し、その後国民年金保険料を支払わなかった場合、10年間の未納が発生し年金額が減少します。
早期退職は、年金支給額が減少する可能性があることを理解し、早期退職後の計画をしっかり立てておくように心掛けましょう。
転職する場合は、早めに再就職先を探す
40代や50代で早期退職した場合、再就職先がすぐに見つかるとは限らない点も理解しておきましょう。
2020年に厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査」に50代男性の転職入職率は各年代別で最も低く4.2%~6.2%となっています。
このことからも、40代や50代の転職は厳しく大変なものだということがわかります。
早期退職して再就職を考えている人は、再就職先がなかなか決まらない可能性があることを理解し、長期戦も覚悟のうえで転職活動に進みましょう。
40代50代から早期退職して良かった点
ここまで、40代50代の早期退職における注意点について紹介してきましたが、早期退職制度をうまく活用することでメリットもあります。
ここでは、40代50代から早期退職して良かった点について詳しく紹介していきます。
>>関連記事:早期退職制度のメリットとデメリットを徹底解説 | 社員・会社の両方の視点で紹介
会社都合の退職扱いになった
早期退職制度を活用するメリットは、会社都合の退職扱いになることです。早期退職制度には、大きく下記の2種類に分類されます。
- 選択定年制度
- 早期希望退職制度
2つの制度の大きな違いは、早期退職が「自己都合」と「会社都合」で異なる点です。前者の選択定年制度の場合は「自己都合」となり、後者の早期希望退職制度の場合は「会社都合」となるので覚えておきましょう。
会社都合の退職扱いでは、失業給付金の受給に大きく影響してきます。自己都合と会社都合それぞれを下記の表で比較して見ていきましょう。
会社都合 | 自己都合 | |
待機期間 | 7日間 離職日の翌日から | 7日間 離職日の翌日から |
給付制限期間 | なし | 2ヶ月 *2020年10月より「給付制限期間」が2ヶ月に短縮(5年間で2回まで)。以降は最大3ヶ月 |
給付日数 | 90〜330日 | 90〜150日 |
受給要件 | 雇用保険被保険者として退職日以前1年間に最低6ヶ月働いた期間があること | 雇用保険被保険者として退職日以前2年間に最低12ヶ月働いた期間があること |
会社都合の場合、給付制限期間がないため、待期期間終了後すぐに受給手続きが可能です。また、自己都合退職と比べ給付日数も長くなります。
新しいキャリアを目指すきっかけになった
40代50代での早期退職では、新しいキャリアを目指すきっかけになります。企業が早期退職制度を導入する理由は大きく分けて下記の2点です。
- 早期に会社を退職したい従業員に対する支援
- 業績悪化に伴う人員整理
後者の理由だけを見るとネガティブに捉えてしまいがちですが、早期退職制度の活用は、自身のセカンドキャリアを実現するためのポジティブな制度であると捉えることもできます。
では、40代50代で早期退職をした場合のセカンドキャリアの具体例を見ていきましょう。
- Aさんは長年にわたって大手商社で業務企画や経営管理などに携わってきたが、新たなやりがいや今後の成長を求め50代で早期退職を決意。経営全般における高いマネジメント力が評価され、ベンチャー企業の役員として転職に成功。
- 小売業界でバイヤーとして活躍していたBさんは、40代になって自分の夢であった飲食店開業を強く意識するようになった。会社からの早期退職制度の公募を知り、45歳で早期退職。これまでの経験や知識、人脈を生かし飲食店の開業に成功。
早期退職は、新しいキャリアを注ぐきっかけとなります。自身のセカンドキャリアを真剣に考え、早期退職制度をうまく活用しましょう。
割増の退職金が得られた
早期退職制度を活用することで、退職金が割増される可能性があります。
2018年に厚生労働省が発表した「就労条件総合調査」によれば、早期退職制度を活用した人の退職給付額が最も高いことがわかっています。
※勤続20年以上かつ45歳以上の退職者
通常の定年退職と比べ早期退職制度を活用した退職金は、平均で約400万円高いとされています。
割増された退職金を活用し、自身のセカンドキャリア実現のために充当することも選択肢のひとつと言えます。
早期退職する前に大切な準備
早期退職後に有意義な人生を送るためには、早期退職する前の準備が大切です。ここでは、早期退職する前に準備しておきたいことを詳しく紹介していきます。
今後の人生プランをしっかりと練る
早期退職する前に今後の人生プランをしっかりと練ることが重要です。早期退職がどれだけ魅力的でも、その後の人生プランがしっかり練られていなければ早期退職後に後悔するケースも少なくありません。
早期退職の注意点について下記にまとめてみました。
- 転職先が見つからない可能性がある
- 収入が減ってしまう恐れがある
- 年金支給額が減る可能性がある
早期退職のメリットだけを考えるのではなく、こうしたデメリットについても目を向け、今後の人生プランと照らし合わせながら早期退職すべきか真剣に考えておきましょう。
若いうちから貯金をしっかりする
早期退職を検討するのであれば、若いうちから貯金しておくことも重要です。早期退職すると定期的な収入源がなくなり、これまでの貯金で生活費を工面する必要があるからです。
2021年に公益財団法人生命保険文化センターが発表した調査結果によれば、世帯主が60歳から64歳の夫婦の老後生活資金として「月平均20.2万円」が必要と考えられています。同条件で65歳以上の場合は、「月平均16.1万円」が必要資金と捉えられています。
また、同調査では老後の生活資金をまかなうための準備手段として期待できるものとして、「預貯金・貸付信託・金銭信託」と回答した人が全体の41.2%と最も多い回答でした。
早期退職を検討するのであれば、老後の生活資金を頭に入れ若いうちから貯金しておくことがとても重要です。
パートナーや家族の賛同を得る
早期退職する場合は、事前にパートナーや家族の賛同を得ておくことも大切です。家族がいる人の早期退職は、自分一人だけの問題ではありません。
事前に賛同を得ないまま早期退職をした場合、家族間の信頼関係が崩れわだかまりが残ってしまう可能性があります。
理解を得るまでに時間がかかるかもしれませんが、自分の人生を支えてくれるパートナーや家族だからこそ、自分の人生プランを説明し事前に理解を得ておくことが重要です。
副業やパラレルワークも検討してみる
早期退職の事前準備として、副業やパラレルワークを検討してみましょう。副業やパラレルワークは、下記のようなメリットがあります。
- 収入が増える
- スキルアップにつながり早期退職後の選択肢が増える
- 人脈を増やせる
40代50代での早期退職では、「収入減少」や「転職先がなかなか見つからない」などの不安要素があります。
副業やパラレルワークを始めることは、こうした早期退職の不安要素を緩和する意味でも有効です。
再就職先を事前に探しておく
再就職を希望する場合、早期退職前に再就職先を探しておくことも重要です。
40代50代で早期退職した場合、再就職先がなかなか見つからず転職活動が長引くケースも少なくありません。
転職活動が長引けば、精神的な負担も大きくなり不安な日々を過ごすことになります。こうしたリスクを排除するためにも、早期退職する前に再就職の準備をすすめておきましょう。
再就職先を探す際のおすすめの方法については次章で紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
早期退職その後でお金や40代50代から人生に迷わないための3つのおすすめ行動
40代50代で早期退職し、その後の人生でお金に困らず人生に迷わないためにはどういった行動が必要なのでしょうか。ここでは、具体的なおすすめ行動について詳しく紹介していきます。
LinkedIn などを活用し、社外の人脈増やし情報を得る
おすすめ行動の1つ目は、社外の人脈を増やし情報を得ることです。社外の人脈を増やし情報を得ることには、下記のようなメリットがあります。
- 最新の情報に触れることで視野が広がる
- ビジネスチャンスにつながる可能性がある
- 収集した情報を転職活動に役立てることも可能
社外の人脈を増やす方法としては、LinkedInなどのビジネス特化型SNSの利用をおすすめします。
【LinkedInの特徴】
- 人脈が広がり新たなビジネスチャンスと出会える
- 最新のビジネス情報をいつでも受け取れる
- 「LinkedInラーニング」を活用し、ビジネスやテクノロジーなどのスキルを学べる
海外で人気のビジネスSNS「LinkedIn」ですが、日本でも2022年現在で280万人以上が利用しており、今後ますます国内での普及が期待されます。
無料で始めることも可能ですので、興味がある人はぜひ利用してみてください。
スカウト型転職サイトに登録し自分の市場価値を知っておく
スカウト型転職サイトに登録し自分の市場価値を知っておくことも大切です。
スカウト型転職サイトでは、事前に登録した職務経歴や自己PRを見た企業からオファーが届きます。オファーが届いた企業やその内容から自分の市場価値を把握できます。
市場価値を知ることで、転職活動をするにあたっての希望条件や応募する企業などを絞り込めるため、転職活動を効率的に進めることが可能です。
ほかにも、転職活動の選択肢になかった企業や自分の知らなかった企業と出会えるなどのメリットがあります。
「ビズリーチ」などのスカウト型転職サイトに登録し、転職活動を有利に進めていきましょう。
まず副業でジョインできる仕事を探してみる
早期退職することは決して簡単な選択ではなく、慎重に検討する必要があります。このような時に選択肢に入れておきたい行動は、まず副業から始めてみることです。
副業を始めるメリットは前章でもお伝えした通りですが、将来的な早期退職をスムーズに進めるためにも役立ちます。
副業を始める際におすすめしたいのが、日本発のキャリアSNS「YOUTRUST」の活用です。YOUTRUSTでは、副業やフリーランス向けの仕事のやり取りが活発におこなわれており、下記のような特徴もあります。
- 友人の知人から仕事のオファーが届く可能性がある
- YOUTRUSTのタイムラインを活用して副業や仕事の応募が可能
- 日本の大手企業も活用しており転職活動にも生かせる
個人ユーザーは無料で利用できるので、副業を始めるにあたってぜひ活用してみてください。
まとめ
40代50代の早期退職で、その後の人生を好転させる可能性がある人には3つの特徴があります。
- 早期退職する前にまず副業から小さく始めることができる人
- セカンドキャリアを早期退職する前に明確に決めることが出来そうな人
- 自分の時間を増やすことの方が会社に属するよりもメリットが大きいことが明らかだと感じる人
まずは、こうした特徴を理解し自分と照らし合わせて考えることが大切です。
そのうえで、自分の人生プランの見直しや早期退職後に必要な資金の貯蓄など、十分な事前準備をおこなうことで早期退職のメリットを最大限活用できます。
早期退職後はスカウト型転職サイトへの登録やビジネスSNSの活用など、自分のセカンドキャリア実現に向けて行動していきましょう。
早期退職になかなか踏み切れないという人は、副業から始めてみることで収入面での余裕が生まれ、スキルアップも目指せるのでおすすめです。
40代50代での早期退職をきっかけに理想の人生を実現させましょう。