「今の仕事にやりがいを感じられない」「労働条件や環境への不満がある」といった理由から転職を考える人も多いでしょう。

人生100年時代とも言われるこの時代、40~50代でも新しい仕事に挑戦し、セカンドキャリアを検討する人が増えています。

セカンドキャリアの選択肢として、別の会社への転職や独立・開業が挙げられるでしょう。

40~50代の採用活動においては、当然これまでの経験やスキルが重視されます。

独立・開業を行う上でも、高い専門性や経験が求められるでしょう。

セカンドキャリアへのチャレンジを後押ししてくれるツールのひとつとして、資格取得があります。

40代で未経験の仕事に転職した146人を対象に行った調査によると、未経験の分野への転職の準備として、20%が資格を取得したと答えました。(ビズヒッツ「40代の転職に関する意識調査」n=146

この記事では、40~50代がセカンドキャリアを検討する上での資格を選ぶポイントや、おすすめの資格を解説します。自分のキャリアプランに合わせた資格取得を目指しましょう。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとしたキャリア支援実績は累計2000名以上。スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

セカンドキャリアの資格の重要性

最初に、セカンドキャリアを形成する上での資格の重要性について考えてみましょう。

転職を見据えるなら「経験・スキル」の方が重要

資格は自分の強みを証明するための有効な手段ですが、40~50代での転職では、資格以上に経験とスキルが重視されます。資格取得は、自分のなりたい姿から逆算し、効率よくその姿に近づくための、ひとつのツールとして考えておきましょう。

転職を成功に導くには、今までに培った企画提案力、組織のマネジメント力、専門性の高さなど、自分の強みを棚卸し、その強みを生かせるプランを考えることが重要です。

一方で、司法書士や社会保険、労務士、行政書士など、その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務以外の職種へ転職を検討する際には資格の取得が必要です。

転職の目的や転職先の業種、職種にあわせて資格が必要かどうかを判断するようにしてください。

資格取得は、転職という本来の目的に近づくための手段のひとつということを忘れないようにしましょう。

独立を目指すなら「キャリアプラン」から逆算して勉強する

就労環境の流動化が進む今、会社員という働き方ではなく独立・開業することも、セカンドキャリアの選択肢のひとつです。

例えば「行政書士として開業したい」がゴールだとすると、法律について勉強する必要があります。

いきなり行政書士の資格取得を目指すのではなく、次のような法律系の登竜門の資格としての資格から勉強してみましょう。

  • 国家資格なら宅建(宅地建物取引士)
  • 民間資格ならビジネス実務法務検定

比較的取り組みやすい資格から勉強を始めてみることで、適性があるかどうかを考えることがポイントです。

セカンドキャリアを目指す上での資格を選ぶ5つのポイント

セカンドキャリアを目指す上での資格を選ぶ5つのポイント

資格取得には一定の費用がかかるほか、一朝一夕で身につくものではなく、時間もかかります。だからこそ、目的を明確にして効率よく学習を進めていきましょう。

セカンドキャリアへの準備としての資格取得であればなおさら、さまざまな角度から検討を進める必要性があります。

  • 「勉強時間や費用を確保することができるか」
  • 「その資格を得ることが自分の目的に合っているのか」
  • 「現実的に見て、自分の能力で取得が可能か」

こういった点も考慮した上で資格を選ぶことが重要な鍵となってきます。

ここでは5つのポイントに分けて、資格選びのポイントを解説しましょう。

必要な費用や時間

資格取得には時間や費用がかかります。難関な資格になればなるほど、さらに多くの時間や費用がかかってしまいます。

多くの方は勤務外の夜や休日などの時間を資格勉強に充てる必要があり、労力がかかってしまいます。

働きながら勉強を進める人は、限られた時間の中でどのくらいの勉強時間を確保できるのかを確認した上で、計画的に学習することが大切です。

合格に必要な点数を取るためには、どれくらいの勉強時間が必要なのかを調べ、試験日から逆算し、時間を確保できるのか確認しておきましょう。

また、資格を取得するために必要な費用についても知っておく必要があります。

必要な費用は、試験を受けるための受験料だけではありません。教材費や講義を聴講するためのセミナー料、また会場までの交通費もかかります。。

資格の種類にもよりますが大きな出費となる場合もあるため、あらかじめ概算を出しておくと安心でしょう。

資格の難易度(合格率)

資格を選ぶ上で難易度を確認しておくことも重要です。

難易度が高すぎると、長い勉強時間が必要になるため、取得までの期間が長期化します。

また、資格を取得することにこだわりすぎると、複数回チャレンジしなければならない可能性もあり、時間も費用もかかってきます。

セカンドキャリアとして別の会社への転職を目指す場合、資格の保持よりもスキルと経験が重要視されることを忘れてはいけません。

自分にとって相応しい難易度かを総合的に判断し、資格選びを行いましょう。

キャリアプランとの整合性

セカンドキャリアに役立つ資格選びを行う際は、自分のキャリアプランを詳細に立てる必要があります。

何年後に自分はどのような姿になりたいかのゴールから逆算し、資格がその道のりの中でどのように役立つのかを考えることが大切です。

例えば、税理士で独立・開業したいというゴールがある人は、税理士登録に必要な2年以上の実務経験期間や開業準備期間を見越しておく必要があります。

そのため、ゴールを達成したい年齢の3年前までに税理士資格を取得するプランを立てることができます。

キャリアプランの軸を立てることで、無駄な時間と労力をかけることを未然に防ぎ、プラン実現のために効率の良い資格を選べます。

自分自身が興味を持てるか

興味や好奇心がある学習内容ほど頭の中にインプットされやすいと言われています。

資格取得においても、ある程度興味のある分野でなければ楽しんで学習を進めていくことは難しいでしょう。

キャリアプランを考えることに加えて、自分の興味関心を棚卸しすると、より解像度高く資格を選べます。

「教育訓練給付制度」を活用できるか

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。

給付金の対象は、そのレベルや目的に応じて、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類の区分に分かれます。

区分によっては最大で受験費用の半額を受け取れる場合もあるため、取得したい資格がここに当てはまるか事前にチェックしてみましょう。

独学ではなく、講座やセミナーで学習を進めようとしている人は、こういった制度の活用も資格選びのポイントにしてもよいでしょう。

汎用性が高いおすすめの資格5選

次に、セカンドキャリアを目指す上で汎用性が高い5つの資格を紹介します。

受験料や合格率、学習時間など、それぞれの資格を7つの項目に分けて解説していきます。

※学習時間は下記のサイトを参考に記載

https://xn--nckg3oobb4031eg4kngetn8hqeva.jp/acquisition_time.php

TOEIC(R)

試験名称TOEIC(R) Listening & Reading Test
受験資格特になし
試験日程年間約20回(毎年1月、3月、4月、5月、6月、7月、9月、10月、11月、12月)
受験料7,810円(税込)
試験形式全国80試験地での受験、マークシート形式
合格率結果は合格・不合格ではなく、トータル10~990点の「スコア」として表示される
学習時間(推定)500~600点:250~350時間
600~700点:250~350時間
700~800点:500~700時間
公式サイトhttps://www.iibc-global.org/toeic.html

TOEIC(R) Listening & Reading Testは、Listening(聞く)、Reading(読む)を通して英語によるコミュニケーション能力を測る資格として人気があります。

コロナ禍により、オンライン会議やテレワークの普及といったニューノーマルが浸透し、ビジネスにおいて海外との距離がぐっと縮まったという職種も多いのではないでしょうか。

TOEICには合格・不合格ではなく、スコアで表示される形式となっており、キャリアで活かせるスコアの最低ラインはトータル600点と言われています。

グローバルに活躍することを視野に入れている人にとって、TOEICを学習しておいて損はないでしょう。

日商簿記

試験名称日商簿記検定
受験資格特になし
試験日程【1・2・3級】6月の第2日曜日、11月の第3日曜日
【2級・3級CBT】随時
受験料【1級】7,850円
【2級】4,720円
【3級】2,850円
試験形式筆記試験
<統一試験>全国各地の商工会議所が申し込み受付時に指定する会場
<CBT試験>全国47都道府県にあるテストセンター
合格率1級:10%前後
2級:15~30%前後
3級:40~50%前後
学習時間(推定)1級:500~600時間以上
2級:100~200時間以上
3級:50~100時間以上
公式サイトhttps://www.kentei.ne.jp/bookkeeping

日商簿記検定は、企業の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能を身に付けられる資格です。

経理だけでなく、営業や経営においても必要不可欠な知識であるため汎用性が高く、多方面でのスキルアップを図れます。

2020年に開始した、全都道府県のテストセンターで受験するCBT方式で、より手軽に受験しやすくなったのもポイントです。

ファイナンシャルプランナー(FP)

試験名称ファイナンシャル・プランニング技能検定
受験資格【1級】
①2級合格かつFP業務に関し1年以上の実務経験を有する方
②FP業務に関し5年以上の実務経験を有する方
③厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する方 ほか
【2級】
①3級に合格した方
②日本FP協会認定AFP認定研修を修了した方
③FP業務に関し2年以上の実務経験を有する方 ほか
【3級】
FP業務に従事している方、または従事しようとしている方
試験日程5月、9月、1月(実施科目により異なる)
受験料【1級】学科:8,900円 実技:28,000円
【2級】学科:5,700円 実技:6,000円
【3級】学科:4,000円 実技:4,000円(各非課税)
試験形式全国47都道府県の受験会場、学科試験+実技試験
合格率1級:学科5~15%、実技80~90%
2級:学科40~50%、実技50~60%
3級:学科70~80%、実技80~90%
学習時間(推定)1級:450~600時間
2級:150~300時間
3級:80~150時間
公式サイトhttps://www.kinzai.or.jp/fp

ファイナンシャル・プランニング技能検定は、金融商品・不動産・保険・年金などの資産を効率的に運用するファイナンシャル・プランニングの技能を認定する資格です。

経済状況やライフスタイルの観点から資産設計する専門家で、金融・保険・不動産など多くの業界で重宝される存在です。

企業に所属せず独立・開業したり、セミナー講師として活躍するファイナンシャルプランナーも多く、取得後の選択肢が広がることも魅力のひとつです。

宅地建物取引士

試験名称宅地建物取引士 (宅建士)
受験資格特になし
試験日程毎年1回、10月の第3日曜日
受験料7,000円(非課税)
試験形式原則受験者が居住している都道府県の会場、筆記試験 (四肢択一)
合格率約15%~18%
学習時間(推定)350時間
公式サイトhttps://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html

宅地建物取引士は、不動産の売買や賃貸の仲介などに必須の資格で、不動産取引の際に重要事項の説明や記名押印を行います。

数多くの国家資格の中でもその活用度はピカイチ。

不動産会社には「従業員の5人に1人につき宅建士を設置する義務」があるため、不動産業界においては高い需要があるでしょう。また独立・開業という道も開けます。

建築業界や金融業界といった他業界でも宅建士の需要は高まっており、活躍の場がぐっと広がります。

社会保険労務士

試験名称社会保険労務士 (社労士)
受験資格①4年制大学を卒業した方または62単位以上を修得した方、短大・高等専門学校 (5年制)・修業年限2年以上の一部の専門学校を卒業した方
②修業年限が2年以上で、課程修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了した方
③司法試験予備試験、旧法規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験または高等試験予備試験に合格した方
④行政書士となる資格を有する方、弁理士・税理士・司法書士などの厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した方
⑤公務員として行政事務に通算して3年以上従事した方
⑥社会保険労務士もしくは社会保険労務士法人、または弁護士もしくは弁護士法人の業務の補助の事務に通算して3年以上従事した方
⑦労働組合または会社などの従業員として労働社会保険諸法令に関する事務に通算して3年以上従事した方
⑧全国社会保険労務士会連合会の個別の受験資格審査により、学校教育法に定める短期大学を卒業した方と同等以上の学力があると認められる方
試験日程毎年1回、8月下旬
受験料15,000円
試験形式19都道府県での会場受験、選択式試験+択一式試験
合格率約6%~7%
学習時間(推定)1,200時間
公式サイトhttps://www.sharosi-siken.or.jp/

社会保険労務士は、労務管理と社会保険の専門家として、企業やそこで働く人々の雇用、労働条件、労働保険、社会保険についての指導や相談ができる資格です。

働き方改革が推進される今、以前にも増して注目される資格といえるでしょう。

試験の合格率は約6%~7%とかなりハードルが高く、1日3時間勉強するとしても1年近くかかる計算となります。

一般企業のバックオフィス業務全般を広くカバーでき、社労士事務所や税理士事務所で働く選択肢もあるなど、難易度の高さ相応の汎用性を持つ資格といえます。

独立を目指す人のおすすめ資格5選

独立を目指す人のおすすめ資格5選

次に、セカンドキャリアとして独立・開業を考えている人におすすめの資格を紹介します。

会社員に比べ自由な意思決定ができ、かつ軌道に乗れば高収入を見込める独立・開業。

その分専門性が必要になってくるため、資格の難易度が高くなりますが、目指すキャリアプランによっては資格取得が人生において大きな鍵を握る場合もあります。

自分のゴールと照らし合わせて資格を選ぶことで、セカンドキャリアを目指す大きな一歩になるでしょう。

税理士

試験名称税理士
受験資格①大学・短大 (学部は関係なし) を法律学または経済学に関する科目を1科目以上履修し卒業した者
②法律学または経済学に関する科目を含め62単位以上取得した大学3年次以上の学生
③司法試験の合格者
④日本商工会議所主催の簿記検定1級合格者または全国経理教育協会主催の簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る)ほか
⑤一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学または経済学を1科目以上履修した者
⑥法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
⑦銀行、信託会社、保険会社などにおいて、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
⑧税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事した者 ほか
試験日程毎年1回、8月
受験料【1科目】 4,000円
【2科目】 5,500円
【3科目】 7,000円
【4科目】 8,500円
【5科目】 10,000円
試験形式15都道府県での会場受験、科目合格制
合格率約15%~20%
学習時間(推定)6,000時間
公式サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm

税理士は税務・会計の専門家として、公正な立場において個人や企業の税金に関わるサポートを行う資格です。

11科目中5科目に合格する必要がある科目合格制をとっているため、取得までに5年以上かかる人も多く、その難易度は決して簡単ではありません。

取得までのハードルが高い分、独立・開業を叶えるケースも多くあります。

しかし、租税や会計といった分野での実務経験を2年以上積まなくてはならない税理士登録が必要になるため、合格後すぐに税理士になれるわけではありません。

そのため合格後すぐに独立・開業するのではなく、勤務税理士として税理士事務所で税務のノウハウを学んだのち独立・開業するパターンが多くなっています。

中小企業診断士

試験名称中小企業診断士
受験資格【1次】特になし
【2次】1次試験に合格した方(1次試験合格の有効期間は2年)
試験日程毎年1回
【1次】8月上旬の土曜日・日曜日の2日間
【2次】筆記:10月中旬または下旬の日曜日口述:12月中旬の日曜日
受験料【1次】13,000円
【2次】17,200円
試験形式主要都市での会場受験、筆記試験(多肢選択式)+口述試験
合格率【1次】17~42%
【2次】18~19%
学習時間(推定)1,500時間
公式サイトhttps://www.j-smeca.jp/contents/007_shiken.html

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための幅広い知識やスキルが求められる国家資格です。

企業の成長戦略のためのアドバイザーが主となる業務ですが、その他にも以下のような業務があります。

  • 中小企業と行政や金融機関を繋ぐ橋渡し業務
  • 融資支援やマーケティングのコンサルティング業務

中小企業における調整役として横断的に活躍できます。

中小企業基盤整備機構の調査によると、独立・開業している中小企業診断士の割合は、他資格兼業を含めて全体の45%を占めていることがわかりました。資格を取得した多くの人が独立・開業のチャンスを掴んでいることが読み取れます。

司法書士

試験名称司法書士
受験資格特になし
試験日程年1回
【筆記】例年7月
【口述】10月中旬
受験料8,000円
試験形式主要都市での会場受験、筆記試験(多肢択一式+記述式)+口述試験
合格率約3~4%
学習時間(推定)6,000時間
公式サイトhttps://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index3.html

司法書士は、裁判所や法務局への提出書類などの作成、法律問題のコンサルティングを行う法律専門の国家資格です。

日常生活で発生するさまざまな法律問題を解決すること、市民の権利保護を行うことから、”法律の身近な相談役”として活躍できます。

合格率は約3~4%と、文系の国家資格の中でも最難関といわれています。

しかし、資格を取得できると性別や年齢に関係なく活躍できる仕事であるため、セカンドキャリアとして独立・開業を検討する上で、選択肢の一つとして考えてみてもよいでしょう。

行政書士

試験名称行政書士
受験資格特になし
試験日程年1回(11月の第2日曜日)
受験料7,000円
試験形式全国47都道府県での会場受験、筆記試験(択一式+記述式)
合格率10%前後
学習時間(推定)700時間
公式サイトhttps://gyosei-shiken.or.jp/

行政書士は、官公庁や行政機関へ提出する書類の作成や申請の代行、公的手続きに関する相談役としての業務や、コンサルティングなどを行う国家資格です。

書類の作成や申請から、法律や条例に関する高度な業務まで、行政に関わる業務を幅広く行うため、個人・法人を問わず高い需要があります。

資格取得後、企業や行政書士事務所で実務経験を積み、顧客からの信頼を獲得して独立・開業する人もいます。

また、行政書士はほかの法律系の資格とも相性がよいため、司法書士などとダブルライセンスでキャリアアップを図れるでしょう。

キャリアコンサルタント

試験名称キャリアコンサルタント試験
受験資格次のいずれかの要件を満たした方
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方
・平成28年3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了した方(平成28年4月から5年間有効)
試験日程<第21回>
学科・実技論述試験:2022年11月6日(日)
実技面接試験:2022年11月12日(土)、11月13日(日)、追加日程:2022年11月19日(土)、11月20日(日)
<第22回>
学科・実技論述試験:2023年3月5日(日)
実技面接試験:2023年3月18日(土)、3月19日(日)、追加日程:2023年3月11日(土)、12日(日)
受験料【学科】8,900円
【実技】29,900円
試験形式主要都市での会場受験、学科(四肢択一)+ 実技(論述・面接)
合格率25%前後
学習時間(推定)100~200時間
公式サイトhttps://www.jcda-careerex.org/

キャリアコンサルタント試験は、労働者が最適な環境で自分らしく働くためのキャリアコンサルティングを行う国家資格です。以前は民間資格でしたが、2016年に国家資格となりました。

終身雇用の時代は終わりを迎え、多種多様な働き方が当たり前となり、キャリア形成を考える重要性がより色濃くなりました。

そのような背景から、共に考え、助言をするパートナーとしてのキャリアコンサルタントの必要性が高まっています。

キャリアコンサルタントとして独立・開業を考える人は、社会保険労務士や行政書士など、親和性の高い事業を組み合わせると、より差別化できるため可能性が広がるでしょう。

女性におすすめできる資格3選

次に、特に女性がセカンドキャリアを目指す上でおすすめしたい資格3つを紹介します。

いずれも比較的取得しやすく、年齢や地域を問わない活躍が期待できる資格です。

調理師

試験名称調理師
受験資格下記の学歴と職歴の条件を満たしている必要があります。
〔学歴〕
①中学校卒業以上の方
②各種学校として認可されている外国人学校等修了者で、上記①と同等以上の学力を有すると厚生労働大臣が認定した方
〔職歴〕
調理師法施行規則第4条に定める次の施設で2年以上調理業務に従事した者
①飲食店営業(旅館、簡易宿泊所を含む)
②魚介類販売業(販売のみは除く)
③そうざい製造業(煮物・焼物・揚げ物・蒸し物・酢の物又は和え物を製造する営業)
④学校、病院、寮等の給食施設(継続して1回20食以上、または1日50食以上調理している施設)
試験日程例年1~2回
※各都道府県によって異なります
受験料各都道府県によって異なります
試験形式全国47都道府県での会場受験、筆記試験(マークシート方式)
合格率約60~65%
学習時間(推定)30〜60時間
公式サイトhttp://www.chouri-ggc.or.jp/chourishishiken/all_delegation/

調理師は適切な調理法、食品の衛生管理、食材の栄養など料理における幅広い知識や技術を持っていることを証明できる国家資格です。

飲食店やホテル、病院など、料理を提供する場所において幅広く活躍できます。

実技試験がなく筆記試験のみで実施されるため、しっかりと勉強に望んだ上で挑戦すれば比較的取得しやすいと言えるでしょう。

なお調理師免許は更新の必要がなく、実際に調理師として業務に携わる人のみ「調理師業務従事者届」の2年ごとの更新が必要になります。

医療事務

試験名称医療事務技能審査試験(メディカル クラーク(R))
受験資格特になし
試験日程【医科】年12回(毎月)
【歯科】年6回(隔月)
受験料【医科・歯科】 各7,700円(各税込)
試験形式在宅試験、筆記試験+実技試験
合格率約60~80%
学習時間(推定)約200~300時間
公式サイトhttp://www.jme.or.jp/exam/mc/index.html

医療事務技能審査試験は、医療事務に関する基本的な知識と技術を証明する資格です。

民間資格のため、医療事務関連の求人に応募する際に必須というわけではありません。資格を取得していると、給与などの待遇が良くなったり、採用時にアピールできたりと有利になる場合があります。

この医療事務技能審査試験(メディカルクラーク(R))は、医療事務に関係する資格の中でも受験者数が多い資格です。

比較的難易度が低く在宅で受験できるため、子育てや家事で忙しい女性にも取り組みやすいでしょう。

病院やクリニック以外にも、公的な保健センター、健康保険組合など活躍の場が広いことも魅力の一つです。

調剤薬局事務

試験名称調剤事務管理士(R)
受験資格特になし
試験日程年6回奇数月の第4土曜日翌日(日曜日)
受験料6,500円(税込)
試験形式在宅受験、学科試験(マークシート方式)+実技試験
合格率約60%前後
学習時間(推定)約350~600時間
公式サイトhttps://www.ginou.co.jp/qualifications/chozai-jimu.html

保険調剤薬局において薬剤師をサポートし、医師が交付した処方せんの受付けや会計、保険請求分のレセプト作成など、事務全般を担当する資格です。

試験中は資料の閲覧が可能なので、テキストの内容を暗記する必要はありません。

景気に経営状態が左右されづらい病院や調剤薬局で重宝されるため、セカンドキャリアとして安定的な就業先を選びたいという人にはおすすめといえるでしょう。

資格取得を目指すときの3つの注意点

資格取得を目指すときの3つの注意点

セカンドキャリアを目指す上で注意しなければいけない3つのポイントをご紹介します。

目的を明確に、より効率的な資格取得に向けて学習を進めましょう。

今の会社に勤めながら勉強を進めておく

自分の叶えたいキャリアプランに向けて動き出す際、確実なスキルの証明書となるのが資格です。

  • やりたいと思っていた仕事に、実は資格が必要だった
  • 転職活動を始めたはいいが、資格があればさらに給料がアップしたのに

このような後悔をしないために、会社に勤めながら学習を進めることをおすすめします。

また、今の会社に勤めながら次のステップに向けて動き出すことで、多くの選択肢を比較・検討できるので、取り返しのつかない事態を防げます。

資格取得までの目標期間を決める

勉強を始める前に、資格に合格するまでのスケジュールを立て、どの項目を習得しいつまでに合格するかを明確にすることが大切です。

スケジュールには余白を作り、トラブル発生やモチベーションが下がってしまう日にも軌道修正できるようにしましょう。

最初にスケジューリングを行うことで、勉強の途中で進め方についていちいち考える必要がなくなります。一度立てた計画に従って、目標までの道のりを「見える化」しながら勉強を進めていくことができます。

「資格マニア」にはならない

あくまでも資格取得は、自分のなりたい姿を叶えるためのツールです。

資格合格が目的になってしまい、あれもこれも手を出しすぎると、時間だけを消費し結果的に何も得られない可能性があります。

セカンドキャリアの成功に向けたキャリア自律の重要性

キャリア自律とは、「個人が自らのキャリアについて主体的に考え責任を持ち、キャリア形成に取り組んでいくこと」を意味します。

人生100年時代とも言われ、働き方改革が推進され自由な働き方が主流となり、キャリアの主体は”企業”から”個人”に移り変わりつつあります。

セカンドキャリアの実現のため資格取得に向けた勉強を行うことは、キャリア自律に向けた立派な第一歩です。

まずは自分がどうなりたいかを明確にしキャリアプランを立てること、そしてその実現に向け主体的に学習することが大切です。

まとめ

セカンドキャリアの実現に向けた資格取得は、これまでできなかったことを実現し、今よりもさらに良い環境へ飛び込めるチャンスの切符を掴むことにつながります。

どの資格においても継続して勉強するのは簡単ではありませんが、それをやり切ったとき大きな自信につながるでしょう。

これまで自分が培ってきた経験やスキルに加え、努力を証明する資格を持っておくことは、セカンドキャリアへの挑戦を後押ししてくれるはずです。