- 40代で転職できるかどうか不安
- 40代の転職活動の進め方がわからない
- 40代の転職で注意すべきことは何?
40代で転職しようにも、方法がわからず足踏みしてしまう人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、40代の転職入職率は約4%という低い水準で、非常に厳しい状況です。40代の転職の現状や成功方法を知らずに転職活動しても、「みじめ」「地獄」を味わう結果になってしまいます。
しかし、40代だからこそ、転職によって希望するポジションや年収アップが実現できるような成功を勝ち取りたいと思うでしょう。
この記事では、40代の転職を成功させる方法として、キャリア自律の考え方を紹介しながら、転職の5つのステップや現状まで網羅的に解説していきます。
記事の目次
40代の転職の現状
40代で転職を成功させるためには、現状を把握しておくことが大切です。ここでは、下記の状況を解説していきます。
- 40代の転職者数
- 40代の求人数
- 40代の転職後の年収
転職入職率が低く、転職者数が少ない
40代の転職入職率は20代や30代に比べて低く、転職者数は少ない状況です。
厚生労働省の令和3年上半期雇用動向調査結果「転職入職者の状況」を見てみましょう。
40代の転職入職率は、男性が平均3.0%、女性が平均4.8%となっており、20代や30代よりも低い割合だと言えます。
入職率とは、「全労働者に対する新たに就業した労働者の割合」で、転職者の大まかな傾向を把握できる指標です。
40代は転職入職率が低く、転職者が少ない年代であると理解しておきましょう。
若年層に比べて求人数が少ない
40代という年齢がネックになり、若年層に比べて応募できる求人が少なくなります。
例として、募集要項に「長期的なキャリア育成のため35歳以下の応募」と年齢制限がかけられている場合があるからです。
求人をかける場合、厚生労働省の従業員を雇う場合のルールと支援策によって年齢制限の禁止が義務化されています。
ただし例外事例として、下図のように、長期的なキャリア形成を図る観点から35歳未満の年齢制限の設定が可能です。
募集の年齢制限により40代は対象外となり、35歳以下の若年層に比べて求人数が少なくなると言えるでしょう。
年収が上がるとは限らない
40代で転職に成功したからといって、必ずしも収入が上がるとは限りません。
厚生労働省の令和3年上半期雇用動向調査結果「転職入職者の賃金変動状況 」をもとに、転職による収入の状況を年代別にまとめました。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | |
増加 | 44.8% | 40.0% | 37.0% | 27.4% |
変わらない | 26.0% | 30.0% | 35.5% | 30.6% |
減少 | 28.2% | 30.0% | 26.5% | 41.2% |
40代では、転職後に年収が「変わらない」「減少」が6割を占め、転職=収入アップにはなりにくい状況だと言えます。
この現状を踏まえると、収入アップにこだわらず、キャリアアップややりがいなどを意識するほうが満足度の高い転職となるでしょう。
40代の転職を成功させる方法は「キャリア自律」
キャリア自律とは、「自分の意思によって主体的にキャリアの選択や能力開発に取り組むこと」です。ここでは、40代での転職成功につながるキャリア自律について、解説していきます。
キャリア自律とは?
キャリア自律は、1990年代後半にアメリカから広まった、働く人のキャリア形成を支援するための概念です。産業・組織心理学会では、キャリア自律を次のように定義しています。
「自己認識と自己の価値観、自らのキャリアを主体的に形成する意識をもとに、環境変化に適応しながら、主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組んでいること」
キャリア自律の「自律」と似た言葉に「自立」があります。
自律 | 自分の意志で判断し、アクションを起こす能動的な姿勢 |
自立 | 他からの助けを借りず、自分で行動している状況 |
キャリア自律では、企業が自社に合った人材を育てるために与える機会に依存するのではなく、個人が主体的・継続的にキャリア形成に取り組むことが大切になります。
自分の意思で積極的にキャリア形成に取り組む姿勢がキャリア自律なのです。
なぜキャリア自律が重要なのか
なぜいま、キャリア自律が重要なのでしょうか。キャリア自律への注目が高まる背景として、下記のような社会的変化が関係していると考えられます。
- 雇用形態や雇用制度の変化
- 人生100年時代による就労期間の延長
- AIのような技術導入による業務効率化に対応する必要性
- 働き方の多様化による企業と個人の関係性の変化
また、パーソル総合研究所の調査によると、キャリア自律度が高い人は自己評価や学習意欲、仕事の充実感が高く、人生の満足度も高くなる傾向があります。
変わりゆく社会で、個人の価値観を大切にしながら長期において働き、人生そのものを充実させるためにも、キャリア自律は重要だと言えます。
>>関連記事「キャリア自律とは|実現に向けた5ステップから企業事例、メリットまで網羅」
40代の転職を成功させる方法|5つのステップで解説
40代の転職を成功させるためには、ポイントを事前に押さえて準備を整え、計画的に進める必要があります。ここでは、40代での転職活動を成功に導く5つの方法を紹介します。
過去の経験やスキルを分解して強みを理解する
40代で転職を成功させるためには、経験してきた業務内容を並べるだけでなく、他と差別化できるような自分ならではの強みを面接でアピールしなければなりません。
自身の強みを見つけるために、まずはスキルや過去の経験を分析してみましょう。
自分の過去の経験やスキルの分析では、下記の点を洗い出し、整理しておくことをおすすめします。
- 過去に経験した職務内容
- 業務に取り組む姿勢
- 与えられた課題に対する工夫
- 大切にしている価値観
これらを掘り下げていくことで、自分の強みが何なのかを把握できるようになります。
分析を進める中で、いまの経験やスキルでは、転職先として希望するポジションのレベルに満たないと感じるかもしれません。
そのような場合でも、キャリア自律を意識して日々の業務に取り組むことで、希望するポジションへ近づく可能性を高められるでしょう。
自分のキャリアプランを練る
40代での転職成功には、将来の理想像を想い描き、自分のキャリアプランを練っておくことが大切です。
- 5年後・10年後にありたい姿
- 何を成し遂げたいか
- どのように達成するか
将来を見据えたキャリアプランがあると、何を目的に転職しようとしているのかが明確になり、目の前の情報に惑わされず、自分にとって正しい判断を下せるようになります。
なりたい自分の姿を具体化するためのキャリアプランを立てることは、キャリア自律の実現にもつながります。
理想と現状のギャップが把握できると、逆算して目標やマイルストーンを設定しやすくなり、率先して行動できるようになるのです。
自分のキャリアに対して主体的に行動する取り組みは、40代の転職を成功させる近道になるでしょう。
転職サイトや転職エージェントに登録する
40代で転職活動するのであれば、自分のスキルや経験にどのような市場価値があるかを把握しておくとスムーズです。転職サイトや転職エージェントには、自分の市場価値を客観的に判断できるサービスがあるので、登録して賢く利用するとよいでしょう。
- スカウト機能を使い、自分の経験やスキルに対してどのようなオファーが届くかを確認し、どのような業界・ポジションの可能性があるかを把握する。
- 年収が査定できるサービスを利用して、自分の実力に対する適正な金額を知る。
キャリア自律において、常に自分の市場価値を客観的な目線で把握できていると、転職活動をスタートする際もスムーズに進められるようになります。
転職サイトや転職エージェントのサービスを利用し、定期的に自分の価値を認識しておくことも大切です。
志望する業界や企業を分析する
40代の転職で、他の候補者に差をつける有効な手段のひとつが、志望する業界や企業の念入りな分析です。
転職で成功を勝ち取るためには、入念な準備と事前対策が必要になるため、まずは相手をよく理解する必要があります。
希望する業界や企業を分析するために、チェックしておきたい項目を下記にまとめました。
業界分析 | マーケットの規模と推移業界全体の構造代表的な企業とシェア |
企業分析 | 企業概要や理念、経営方針取り扱っている商品やサービス業界での位置づけ競合との比較 |
業界や企業の特徴をつかむことで、自分の強みをどのように活かせるかを具体的にイメージできるようになります。
求人の募集要項に書かれている内容だけでなく、関連性のある情報を得て、自分のスキルや経験を活かすようとする積極的な姿勢は、選考段階でも企業の担当者へ伝わるでしょう。
40代の転職を成功させるためには、志望する業界や企業をしっかり分析しておくことが大切です。
強みと柔軟性を伝え、面接に臨む
40代の転職では、自分の強みとあらゆる状況に対応できる柔軟性を面接で伝えましょう。
企業は40代の候補者に対して、いままでの経験やスキルを評価し、短期間で成果を上げるような即戦力を求めています。
その要望に応えるために、スキルの高さや希望する企業にリンクするような実績を語るなど、自分の強みをしっかり主張しなければなりません。
また企業は候補者のスキル面だけでなく、自社の価値観や企業理念などにフィットするかどうかもチェックしています。
40代となると、長い経験の中で築かれた独自の価値観にこだわってしまう人も少なくないため、企業側は入社後のミスマッチを防ぎたいと考えているのです。
希望する企業のカルチャーを理解し、転職後の新しい環境や人間関係を受け入れる姿勢と、変化に対応できる柔軟性があることもアピールしていきましょう。
40代の転職の注意点
40代の転職活動は、長期化する可能性や収入に変化が及ぶこともあるため、慎重に進める必要があります。ここでは、40代での転職における注意点を2つお伝えします。
家族やパートナーには必ず相談する
40代で転職活動を始めるなら、必ず家族やパートナーに相談しておきましょう。
家族やパートナーがいる人にとっては、自分の転職が家族全員に影響を与えるため、自分ひとりの問題と捉えるのではなく、相談しておくことが大切です。
転職したい理由や目的、次にやりたいことなどを説明した上で、家族にとって最善の働き方や条件を話し合いましょう。
40代ともなると、転職後に充分な収入を得られるか、家族と過ごす時間を取れるかなど、考えなければならない要素が多くなります。
厳しい40代の転職を成功させるためには家族やパートナーからの理解と協力が不可欠です。転職活動をサポートしてもらえるように必ず意思疎通をしておきましょう。
在職中に転職活動を行う
40代の転職は、内定が取れてから現職を辞めるのが鉄則です。先に退職するのは避け、現職を続けながら転職活動を行いましょう。
「辞めたい」という気持ちに任せて退職しても、40代の厳しい転職状況では簡単に次の転職先が見つかるとは限りません。
仕事がない状態で、次の転職先がなかなか決まらない状況に追い込まれると焦りが生じ、自分のキャリアプランに沿った転職への正しい判断ができなくなります。
40代の転職活動は長期化する可能性もあり、仕事がなく収入を得られない状態では金銭的な負担だけでなく、精神的にも追い詰められるでしょう。
自分がよいコンディションで転職活動を進め、成功を勝ち取るためにも、40代では在職中に活動を行うのが得策です。
40代の転職に有利なおすすめ転職サイト
40代の転職を成功させるためには、年代に強い転職サイトを利用して効率よく転職活動を進めるのが得策です。
ここでは、40代の転職に有利な転職サイトを3つ紹介します。どれもおすすめの転職サイトなので、登録して転職活動に役立てましょう。
ビズリーチ
ビズリーチは、ミドル層・高年収層の転職で多くの成功実績をもつ転職サイトで、40代からキャリアアップや年収アップを目指す人におすすめです。
運営会社 | 株式会社ビズリーチ |
公開求人数 | 約76,500件(2022年6月現在) |
主な機能 | ヘッドハンターや企業からの直接スカウト |
おすすめポイント | ・他のサイトにはない希少な求人に出会える・自分の市場価値を把握できる・3分の1以上が年収1,000万以上のハイクラス求人 |
ヘッドハンターや企業からの直接スカウトがメインですが、転職の希望条件を入力し、求人を検索して自分から応募することも可能です。
ビズリーチは、高い専門スキルやマネジメント経験を求める求人が多くなっているため、40代で転職活動するのであれば、登録しておくべき転職サイトといえます。
リクルートダイレクトスカウト
リクルートダイレクトスカウトは、ハイクラスに特化したスカウト型の転職サイトで、キャリアアップを目指して質のよい求人と出会いたい人におすすめです。
運営会社 | 株式会社リクルート |
公開求人数 | 約239,500件(2022年6月現在) |
主な機能 | ヘッドハンターや企業からの直接スカウト |
おすすめポイント | 年収800万円〜2,000万円の求人多数 |
自分の希望に合った求人を検索することもできますが、ヘッドハンターからのスカウトを待つスタイルが基本となります。
思いがけないスカウトが届くこともあるので、40代での転職活動では利用しておきたい転職サイトです。
enミドルの転職
enミドルの転職は、ミドル層向けのハイクラス・高年収求人が豊富なため、さらなるキャリアアップを目指す30〜40代におすすめの転職サイトです。
運営会社 | エン・ジャパン株式会社 |
公開求人数 | 約159,400件(2022年6月現在) |
主な機能 | 35歳以上のミドルに特化した転職サイト |
おすすめポイント | 約400社に及ぶ人材紹介会社(転職エージェント)の求人情報を収集 |
enミドルの転職は、30代・40代のミドル層に特化した転職サイトのため、年齢制限を気にすることなく検索できます。
多数の転職エージェントの求人を集めて掲載しており、個々に登録しなくても検索して内容を確認できるので、効率よく情報を得られるのがメリットです。
40代に有利な転職サイトのひとつとして、enミドルの転職を賢く利用するとよいでしょう。
40代が転職を成功させるためのおすすめの転職サイト・転職エージェントはこちらでチェックできます。
>>関連記事「<完全版>40代 おすすめ転職サイト13選|転職のプロの解説から転職ノウハウまで網羅 | ライフシフトラボ・ジャーナル」
40代の転職でよくある質問
ここでは、40代の転職についてよくある質問をまとめました。40代の転職で不安を感じやすい質問に回答しているので、ぜひ参考にしてください。
40代から未経験の分野に転職できるのでしょうか
40代の転職では「即戦力」や「マネジメントスキル」が企業から強く求められます。マネジメント経験があったとしても、未経験分野では即戦力として採用されるのは難しいでしょう。
しかし、40代の未経験者でも採用されやすい職種を選べば、転職が成功する可能性は高くなります。未経験分野への転職では、下記の職種を検討してみましょう。
- ポータブルスキルが求められる職種:コンサルタントやプロジェクトマネージャー
- 需要拡大の見込みにより求人数が多い職種:IT技術者や介護など
- 独立を目指せる職種:インストラクターやカウンセラーなど
40代から未経験分野への転職は簡単ではありませんが、成功しやすい業界や職種を選び、計画的に活動することで、実現させられます。
40代の転職は結局、「みじめ」「地獄」と聞きますが、成功できますか?
40代は、転職入職率が低く、若年層に比べて求人数が少ないなど、転職におけるハードルが低いとは言えません。
転職活動が「みじめ」「地獄」になりやすい人には特徴があります。下記の特徴で自分にあてはまる項目がないか、確認してみましょう。
- 未経験にもかかわらず、競争率の高い分野を希望している
- 転職回数が多く、自分の経歴を否定的に捉えている
- 将来の自分の姿をイメージできず、キャリアプランが定まらない
- 新しい職場環境は人間関係を受け入れる柔軟性がない
- 収入アップにこだわりすぎている
このような特徴に気づかずに、がむしゃらに転職活動を続けていても成功に近づくのは難しいでしょう。
自分の状況に気づけたら、この記事で解説した「40代の転職を成功させる方法」をしっかり押さえておくことをおすすめします。方法を知ることで入念な準備と対策ができるようになり、転職成功を勝ち取れます。
転職する上で資格は必要でしょうか?
40代の転職活動では、いままでの経験やスキルを具体的に伝えられれば、必ずしも資格が求められるとは限りません。
持っていると評価につながる資格もあるので、さらなるキャリアアップを目指して取得を検討してみるのもひとつの方法です。
例えば、業界を問わず転職に有利とされる資格には下記の5つがあります。
- TOEIC
- MBA
- ファイナンシャルプランナー
- 中小企業診断士
- 日商簿記
高度なスキルや専門性が求められる業界や職種への転職を希望する場合は、資格取得が必須条件となることもあるので、事前に確認しておきましょう。
さいごに
40代の転職は簡単ではない現状を理解し、成功させる方法を理解して行動することが大切です。
40代の転職を成功させる方法のひとつとして、キャリア自律の考え方を紹介しました。自分の意思で積極的にキャリア形成に取り組む姿勢は、転職を目指す上でも大切な考え方です。
40代の転職活動は、過去の経験やスキルの分析から面接に挑むまでのステップをひとつずつ実践することで、成功の確率を高められます。
注意点として、転職活動を始める際には事前に家族やパートナーに相談すること、内定が出る前に退職しないことの遵守をおすすめします。
40代の転職に有利な転職サイトに登録し、サービスを利用して活動の効率を上げるのも賢い方法です。
成功方法を知って計画的に転職活動を進め、40代の転職を成功させましょう。